人権だより 平成26年3月16日発行(音声読み上げ) 人権だより

登録日:2016年2月25日

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人権だより

 本市では「人権が尊重される津市をつくる条例」を制定し、「人権尊重都市」を宣言しています。また、この条例の理念を実現し、人権施策の総合的な推進を図るため、「人権施策基本方針」を策定して、市内各所で人権問題講演会や市民人権講座、街頭啓発を実施するなど人権尊重の取り組みを進めています。
 しかし昨年、外国人を誹謗[ひぼう]中傷する差別落書きが発生したため、その解決に向けた取り組みを関係機関や地域の皆さんと共に進めてきました。人権問題の解決を図り、さまざまな文化や一人ひとりのものの見方、考え方が尊重される社会をつくるためには、あらゆる人権問題について認識を深めていくことが必要であり、人権教育及び人権啓発を実施する行政の役割は非常に重要です。
 人権が尊重される津市をつくる条例には、本市の責務として人権尊重の視点に立つこと、人権施策を積極的に推進することがうたわれています。また市民等の責務として、相互に人権を尊重し、本市が実施する人権施策に協力することがうたわれています。一人ひとりの人権が尊重される明るく住みよい津市を、私たちの力で実現していきましょう。

コラム 女性と子どもの人権-教育が世界を変える-

 2013年7月12日、国連本部でパキスタン人の少女「マララ・ユサフザイさん(16歳)」の言葉が、世界中の人々の心に訴え掛けました。マララさんは、「何百万人もの人々が貧困と無知に苦しんでいることを忘れてはいけません。私たちの最も強力な武器である本とペンを持ちましょう。一人の子ども、一人の教師、一冊の本、そして一本のペン、それで世界を変えられます。教育こそが、ただ一つの解決策なのです」と呼び掛けました。
 マララさんは2009年から、女性が教育を受ける権利について、ブログなどを通じて世界に訴え続けていました。恐怖におびえながらも、圧力に屈しない姿勢が多くの人々の共感を呼び、マララさんの活動は、教育の機会を奪われていた女性達から注目されていました。
 しかし2012年、マララさんはスクールバスで下校中に女性への教育を認めない反政府武装勢力に襲撃され、頭部に銃弾を受けて重傷を負ってしまいました。その後、イギリスの病院に移送され、一命を取り留め奇跡的に回復し、現在はイギリスのバーミンガムの学校に通学しています。
 女子学生を狙い撃ちにしたテロ事件は、世界中に大きな衝撃を与えました。マララさんは、演説で「平和は教育に不可欠です。しかし、世界の多くの地域で、特にパキスタンやアフガニスタンで、子どもたちは戦争によって学校に行くことを阻まれています。今こそ立ち上がる時です。世界の指導者は女性や子どもの権利を守らなければならないのです」と続けました。
 今、紛争地には、学校に通えない子どもたちがたくさんいます。日本にいる私たちも、紛争の陰で子どもや女性がさまざまな苦しみを強いられていることを、もっと知るべきではないでしょうか。
 国連は、マララさんが演説した7月12日をマララさんの取り組みや銃撃後の不屈の精神をたたえて「マララの日」としました。「マララの日」を権利から遠ざけられた世界の子ども、世界の女性の人権を考えるきっかけの日としたいものです。

部落差別を考える

 部落差別は、住んでいるところによって、人間関係を切っていこうとする許し難い差別です。国連の人権小委員会でも取り上げられた、我が国の解決すべき大きな人権課題です。この理不尽な差別により多くの人が傷つけられてきた事実を考えると、一刻も早く解決しなければならない問題です。
 少し年配の人なら、子どものころ、口げんかになると「そんなん、憲法に書いてあるんか!」という捨て台詞を言ったことがある人がいると思います。しかし、日本国憲法の第14条(平等権)の中にある「社会的身分により…差別されない」という部分が、部落差別を念頭に置いて国会で審議されたことを知る人は少ないと思います。実は、部落差別をしてはならないということは、我が国の最高法規である憲法にも書いてあるのです。
 ところが、現実には、まだ部落差別をする人たちがいます。では、この人たちはどうして、国も世界も認めないこの理不尽な差別を今だに続けているのでしょうか。
 考えられる1つの理由は、この差別が馬鹿げた迷信のようなものから生まれてきたということが分かっていないからです。もう1つの理由は、差別はだめだということは分かっていても、差別をなくしていくことに関しては無関心で、自分の問題ではないからと、知らん顔をしている人が多いからです。そして、差別する人たちは、それがいかに人を傷つける醜い行為であるかということを分かっていないからです。
 では、部落差別をなくしていくために一番必要なことは、何でしょうか。それは、人の痛みを知り、人を大事にできる生き方をみんなが獲得することです。このことを考えたとき、ある反差別の活動をしている人に言われたことを思い出しました。「部落問題のことが少し分かってきました」という私に対して、その人は「あなたが本当に部落問題のことが分かってきたのなら、家族に感謝されるようになるはずだ。部落差別をなくすことができるのは、人を大切にする生き方をしたいと思っている人だけだ。そういう人は、自分の一番身近にいる家族も大事にできているはずだ。身近にいる家族にも感謝されないうちは、まだまだ部落問題が分かったなんて言えないな」と言いました。
 「部落差別の解決を考えることは、人としての生き方を考えることだ」と反差別の活動をしている人たちはよく言います。私は、「人を大切にする生き方をしましょう」と人には呼び掛けながら、自分自身は本当に周りの人たちを大切にしてこられたのだろうか、と考えさせられました。頭で分かっていても実行に移せない人が多いということはよく言われますが、まさに自分もその一人なのだと思いました。部落差別を考えることの奥深さを、あらためて実感しました。
 私はこれからも、自分自身の生き方の問題として、部落差別をはじめとしたあらゆる差別の解決に向けて、自分は何ができるのかを考えていきたいと思います。

琴線の絆

 3年ほど前、魂を揺さぶられた一本の新聞記事がありました。
 平成22年の大みそか、日本海に面した国道9号で、記録的な大雪によってスリップした大型タンクローリーが道路をふさぎ、25キロメートルにわたって千台の車が立ち往生。記事は、そのとき車列に向き合った鳥取県琴浦町の沿線住民たちの、いつもと違うお正月の姿を追ったものでした。
 新年の幕開けを皆が祝っていたころ、動けない千台のドライバーたちは、過酷な夜に耐えていました。腰まで積もった大雪と極寒の路上ではトイレもままならず、服装が十分でない中、ガソリン不足で暖房を付けられない車もありました。
 未明にそれを知った町の住民は、すぐさま立ち上がります。互いに連絡を取り合って、正月返上での見事な連携プレーが始まりました。仕事場のトイレを開放して即席の看板で誘導したり、赤ちゃん連れの母親を見つけるとミルク用のお湯と毛布を手渡したり。消防団員は1台ずつ車に声を掛けて回り、女性たちはありったけのお米を炊いて握ったおにぎりを、汗だくになって配り歩きました。
 「目の前に困っている人がいたら、お互い様じゃけね」
 国道沿いのまんじゅう店は、1,200個のまんじゅうを自ら配ったといいます。
 読み進むにつれ、住民の人情と心意気が強く心に響きました。沿線住民が誰に言われることもなく、献身的な活躍で見ず知らずの人々を救うという情景に、忘れかけていた日本人の気概がよみがえったからです。
 琴浦では、これまでにも難破船が漂着するたびに、住民総出で船員の救助に当たってきたといいます。
 「琴浦は、そんな土地柄です」
 まんじゅう店の店主の一言は、何と多くの示唆を与えていることでしょう。
 この年の3月、あの東日本大震災が列島を襲い、未曽有の大災害をもたらしました。おびただしい犠牲者の数と更地がはるか海岸まで続く光景。千年に一度といわれた震災の傷跡はあまりにも大きく、文字どおり日本中が震え上がりました。在りし時の日常を、無言で伝える痕跡の数々。耐え難い悲しみと限りない絶望感が、被災地を包み込んでいきました。
 それでも人々は、悲しみを懸命にこらえ、乗り越えて、再び歩み始めました。そして、その不撓不屈[ふとうふくつ]注:1の精神に、国中から温かい支援の手が差し伸べられました。国を挙げて響き合う被災地支援の声、声、声。日本人は、この深刻な試練を通して、かけがえのない「絆」を取り戻したのです。
 人と人との離れ難いつながり。震災や大事故が起こるたびにこうした絆が注目されるのは、ある意味残念なことなのかも知れません。ネット社会になり便利になった現代ですが、快適さと引き換えに、何か疎遠で人情に薄い世の中を生きているように感じます。
 古来、地域の「であい」など相互扶助や助け合いの精神は、日本中にあふれていました。皆が当然のように助け合いながら生きてきたのです。そして、そんな日本人の気概は、現代の私たちにもきっと受け継がれているはずなのです。
 いつかまた、琴浦の国道上で繰り広げられた助け合いの情景が日本各地で見られるようになれば、こんな当たり前の話題は記事にはならないのかもしれません。日本人が気概を取り戻した今、「琴線注:2の絆」が私たちの心でどんどんつながって、引き継がれていくことを願ってやみません。
注:1
不撓不屈…どんな困難にあっても決して心がくじけないこと
注:2
琴線…心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸に例えた言葉

人権標語・人権ポスター優秀作品

平成25年に募集した人権標語と人権ポスターの優秀作品を発表します。

人権標語

あいさつは 人がつながる 愛言葉
松岡芽生さん(倭小学校4年生)

見てないで その一歩を ふみだそう!
嶋田未祐さん(芸濃中学校1年生)

大切な 人の笑顔を 消す差別
長野未夢さん(いちし中学校1年生)

人権ポスター

優秀賞
湯元雄飛さん(榊原小学校5年生)

特別賞
川口小学校6年生の皆さん

入選(順不同
赤塚真吾さん(高野尾小学校6年生)
椙尾進次郎さん(上野小学校5年生)
小林安里さん(高宮小学校5年生)
山口浩輝さん(川合小学校5年生)
山本青奈さん(美杉小学校6年生)
駒田陽菜子さん(芸濃小学校6年生)
芝山冬晟さん(草生小学校6年生)
米川翼左さん(香良洲小学校5年生)
宇佐見波華さん(南が丘中学校3年生)
池田紗玖良さん(朝陽中学校2年生)
佐野晴菜さん(芸濃中学校2年生)
藤田知加さん(美杉中学校2年生)
小濱妃加里さん(香海中学校3年生)
崎航大さん(久居中学校2年生)
樋口拓真さん(とう観中学校3年生)
菅原輝夢さん(いちし中学校3年生)
河野亜美さん(白山中学校3年生)
藤田彩花さん(美里中学校3年生)

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