人権だより 平成27年3月16日発行(音声読み上げ) 人権だより

登録日:2016年2月25日

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人権だより

 世界人権宣言の第1条には、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」とうたわれています。人は誰もがかけがえのない存在です。人が人間らしく生きる権利を保障され、自分の人生を自分で決め、周囲からその意思を尊重されること、つまり自分の人生に価値を感じながら過ごすことは、誰もが望むことです。
 しかし昨年、市内で部落差別を助長する差別落書きが発生しました。こうした差別落書きは、人の心を傷つけるだけでなく、差別意識や偏見を拡大させる極めて悪質な人権侵害行為であり、決して許されることではありません。市では、人権問題講演会や市民人権講座、街頭啓発などの人権啓発事業を行い、部落差別をはじめとするあらゆる差別をなくしていくため、人権尊重の取り組みを進めています。
 人権問題を正しく理解し、差別を許さないという強い意識を持った人と人とのつながりによって、差別のない社会を実現していきましょう。

コラム いじめ問題と人権

 平成23年10月、滋賀県大津市立中学校の当時2年生の男子生徒が、いじめを苦に自殺するという事件が発生しました。この事件がきっかけとなり、国はいじめによって子どもの命が失われないよう、平成25年6月に「いじめ防止対策推進法」をつくりました。
 それを受け、津市も平成26年5月に「津市いじめ防止基本方針」を策定しました。市内の園や学校では、人権教育の取り組みが進められていますが、人権教育は人を大切にすることを学ぶ教育であり、人とつながる温かさを感じるための教育でもあります。人の思いを知り、自分のこととして捉えることを繰り返しながら、お互いにつながっていきます。人権教育を進める中で、温かい人と人との関係性を断ち切る「いじめ」や「差別」に対して「おかしい」と気付き、声にしていく仲間を増やし、いじめや差別を許さない、見過ごさない仲間づくりを目指していきます。
 小・中学生、高校生を対象に行われた、いじめについての調査では、「いじめられたら、誰に相談しますか」という問いに「誰にも相談しない」と答えた子どもの割合が成長するにしたがって増えていき、高校生では約半数近くにまでなることが分かりました。もし、いじめに遭ったときは、自分で抱え込まずに誰かに相談することが大切ですが、普段からいろいろなことが相談できる関係を、学校の中だけでなく家庭や地域でもつくっておくことが大切だと思います。
 このように考えていくと、いじめ問題は学校だけの問題ではなく、子どもたちにとって心豊かで安全・安心な居場所となる社会をいかにしてつくっていくかということが、私たちの課題であると言えます。家庭や地域など身近なところから、子どもたちとの関わりを見つめ直し、対話を大切にすることで、「人と関わることってあったかい」と思える社会をつくることができるのではないでしょうか。

同和問題

 同和問題とは、歴史的・社会的に形成されてきた人々の差別意識が今なお根強く残っていることで、特定の地域出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚や就職、日常生活のさまざまな場面で差別するという重大な人権問題です。差別に関わることで、自分が差別を受けることは避けたいという意識が、差別の現実を作り上げている一因になっています。
 しかし同和問題とは、差別される人の問題ではなく、あくまでも差別する人の問題です。私たちは、誰もが生まれた場所や親、家を選ぶことはできません。また、どこで暮らしているかによって、その人の値打ちが決まるわけでもありません。
 自分だけでなく、自分の家族や友人など、人と人との出会いによって生まれたつながりは、かけがえのない大切な財産です。差別はこうした人と人との温かいつながりを切っていくだけでなく、差別を受ける人に耐え難い苦痛を与え、人間の尊厳を傷つけ、踏みにじる行為であり、人の命を奪うこともあるのです。
 差別は人がつくったものです。それならば、差別をなくせるのも、差別をなくしていくのも人なのです。同和問題を解決するには、同和問題を正しく理解し、自らが問題意識を持って考え行動することが必要です。「自分は差別しないから」「自分には関係ないから」といった自分の責任ではないとする考え方では、差別を助長してしまいます。
 また、間違った知識や情報による思い込みが知らず知らずのうちに刷り込まれ、差別意識や偏見につながることがあります。人が人として尊重され、誰もが安心して生きられる社会にしていくためには、差別を見抜き、差別を許さないといった鋭い人権感覚を養い、学び続けていくことが大切なのではないでしょうか。

女性と子どもの人権

 昨年12月10日、ノーベル平和賞の授賞式がノルウェーの首都オスロで開催され、女性の教育を受ける権利を訴え続けている17歳の少女、マララ・ユサフザイさんが史上最年少で受賞しました。
 マララさんは、2009年から女性が教育を受ける権利を訴え続け、2012年に女性への教育を認めない反政府武装勢力に襲撃され意識不明の重傷を負いましたが、奇跡的に一命を取り留めました。その後、国連で演説を行い「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、そして一本のペン、それで世界を変えられます。教育こそが、ただ一つの解決策なのです」と呼び掛け、女子教育の権利を訴え続けました。
 今回のノーベル平和賞受賞を受け、マララさんは受賞演説で、子どもたちが教育を受ける権利の重要性についてこう話しました。
 親愛なる兄弟姉妹の皆さん。いわゆる大人の世界であれば理解されているのかもしれませんが、私たち子どもには分かりません。なぜ「強い」といわれる国々は、戦争を生み出す力がとてもあるのに、平和をもたらすことにかけては弱いのでしょうか。なぜ、銃を与えることはとても簡単なのに、本を与えることはとても難しいのでしょうか。なぜ戦車を作ることはとても簡単で、学校を建てることはとても難しいのでしょうか。21世紀の現代に生きる私たちは、不可能なことはないと信じています。月にだって行けるし、火星にもそのうち着陸するかもしれない。ですから、この21世紀に、誰もが良質な教育を受けられるという夢もかなうのだと、決意を持たなければならないのです。教育を奪われた子どもを目にするのが最後となるよう、行動に移すときです。教室が空っぽのままであり続けるのは、もう終わりにしましょう。
 マララさんのノーベル平和賞受賞の演説は、より良い未来を築くためのスタートとなりました。

ハンセン病について考える

 想像してみてください。明日から愛する家族と離れ離れになってしまうことを。結婚しても子どもを生むことを許されなくなることを。限られた敷地内に閉じ込められ、外には出られなくなることを。そして、そんな生活が一生続いていくであろうことを。
 ハンセン病回復者(以下、回復者)の人たちは、長きにわたり、国による感染防止という名目の隔離政策で、このような人を人とも思わない扱いを受けてきました。ハンセン病の歴史は、差別の歴史なのです。
 私がハンセン病について初めて関心を持ったのは、平成15年に熊本県のあるホテルが、回復者の宿泊を拒否した事件でした。当時の私は、漠然と回復者の人たちに同情するだけで、こんな人たちがいたんだなあという程度の認識しかありませんでした。そして、新聞やテレビで報道される内容を、それ以上深く知ろうとはしませんでした。しかし数年前に、私は東京都東村山市にある国立ハンセン病資料館を訪れる機会を得ました。そこでは、ハンセン病の歴史や療養所での生活の様子などを詳しく知ることができ、ハンセン病に対する正しい知識や認識を深める良い機会になりました。
 ハンセン病は、体の一部が変形したりする外観の特徴から、偏見や差別の対象にされることがありました。さらに、明治後期から昭和初期にかけて、国策として法の下に行われたハンセン病患者の強制隔離政策により、人々の中に「ハンセン病は恐ろしい」という偏見や差別意識を植え付けてしまいました。
 現在では、国は隔離政策の過ちを認め、療養所の入所者や社会復帰者に対して謝罪し、名誉回復や支援に取り組んでいます。しかし、前述したホテルの宿泊拒否のように、現在もハンセン病に対する偏見や差別が無くなったわけではありません。
 ある療養所の入所者が「生まれ育った故郷を忘れたことはない。しかし、自分の家族に迷惑を掛けるので故郷に帰ることはできない」と話していました。故郷や実家に戻って生活している回復者の人たちもいますが、その数はごくわずかだそうです。この人のように、さまざまな理由から、今でも療養所で暮らす人たちが多くいるのです。回復者の人たちやその家族が辛くて悲しい思いをしたのは、本人や家族に問題があったからではありません。全ては病気に対する無知や理解不足、そして偏見や差別が原因だったのです。
 回復者の人たちの高齢化が進み、あと数十年もすれば、偏見や差別に苦しめられてきた回復者の人たちは、この世を去ります。しかし、それでこの問題が解決するわけではありません。
 私たちは、ハンセン病についての正しい知識と理解を深めることで、回復者の人たちや家族に対する偏見と差別を解消していかなければならないと考えます。そして、過去の過ちを直視することで、この問題を人権問題として認識し、二度と同じような過ちを繰り返さないよう、私たち一人一人が考えていきたいと思います。

ハンセン病

「らい菌」に感染することで起こる病気で、末梢神経が侵され、知覚障害や発汗障害が起きたり、筋肉の萎縮により体の一部が変形したりする後遺症が残ることがあった。感染力が弱く、感染しても発病することはまれであり、現代では化学療法を中心とした外来治療を行うことで確実に治癒する病気となっている。しかし、過去には国策として患者の強制隔離が行われ、多くの患者が故郷や家族のもとを追われて療養所に強制的に入所させられた。

人権標語・人権ポスター優秀作品

平成26年に募集した人権標語と人権ポスターの優秀作品を発表します。

人権標語

さしだそう その手はきっと 温かい
山口美麗さん(南 立誠小学校6年生)

消していく いじめに差別 一つずつ
波尻祥希さん(倭小学校6年生)

伝えよう 自分のキモチ 考えよう 相手のキモチ
前川真由花さん(美里中学校2年生)

人権ポスター

優秀賞
白﨑彩世さん(芸濃中学校1年生)

特別賞
川口小学校6年生の皆さん

入選(順不同)
田居零音さん(美杉小学校6年生)
植田知里さん(橋北中学校1年生)
尾崎薫さん(久居東中学校2年生)
山本日和梨さん(朝陽中学校2年生)
奥田晏さん(美里中学校2年生)
藤川真優さん(香海中学校3年生)
島田珠理さん(いちし中学校3年生)
厚木清礼さん(白山中学校1年生)
新堂菜々さん(白塚小学校6年生)
谷本悠希さん(立成小学校6年生)
清水芙香さん(千里ヶ丘小学校5年生)
竹尾実紗さん(明小学校6年生)
東山野乃花さん(辰水小学校5年生)
駒田陽紀さん(草生小学校5年生)
大川愛莉さん(香良洲小学校6年生)
宮崎陽菜さん(いちし東小学校5年生)
野里夏未さん(大三小学校5年生)
紀平玲良さん(とう観中学校2年生)
大野遥風さん(美杉中学校3年生)

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