「広報津」平成23年6月16日/第132号(音声読み上げ) シリーズ 津のひと・もの(9)

登録日:2016年2月25日

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裏表紙

シリーズ 津のひと・もの(9)

土に命を吹き込む

 はくさん地域の緑豊かで静かな田園の中を進んで行くと、一軒の趣のある建物が見えてくる。
 親子二代の陶芸工房を営む高山大[だい]さん。幼いころから、陶芸家である父の作品や、古代土器などのコレクションに囲まれて育ち、いつの間にか、それを見ながら、自分でも土をもんでいた。
 一度は会社勤めを経験したが、その生活の中で、幼い頃の自分を思い出し、やはり自分は「物づくりの世界」が好きなんだとあらためて感じたという。そして、24歳の時に仕事を辞めて、約5年間京都で修行した後、本格的に陶芸活動を始めた。「特に、古代土器に魅力を感じるんです。力強さと、繊細さが同居していて、おおらかな美しさがある。私の作品も、少しでもその魅力に近づけられるようにと思っています」と笑顔で話す。「一つの作品を仕上げるためには、3カ月くらいかかります。土を選んで、形を作り、乾燥させた後、窯に入れて焼きます。最後は窯に委ねる。自分の手を離れ、命が宿ったかのように、作品が姿を変える。これが陶芸の醍醐味だと私は思っています」また高山さんは、創作の傍ら、工房の陶芸教室で講師を務めている。「教室には、小学生から年配の人まで、幅広くいらっしゃいます。皆さんから学ぶことも多くて、特に子どもの純粋で豊かな発想には、いつも驚かされますね」とやさしいまなざしで話してくれた。
 今は、この夏に開催される展覧会の作品を制作中の高山さん。「とにかく自分らしい作品を作っていきたいです」と意気込む。これからも、ゆったりとした時間が流れる自然豊かなこの工房で、高山さんの力強く繊細で深みのある作品に命が吹き込まれていくのだろう。


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