「広報津」平成23年7月16日/第134号(音声読み上げ) 所信表明

登録日:2016年2月25日

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所信表明

 6月13日、本年第2回津市議会定例会の開会に当たり、前葉泰幸[まえばやすゆき]市長が所信表明を述べました。所信表明では、市政運営における基本的な考え方や重点的な取り組み内容などが示されました。広報津ではその主な内容を掲載しています。なお、所信表明の全文については、津市ホームページでご覧いただけます。

  • 「対話と連携」に基づいたまちづくりを進め、住むことが誇りに思える「風格のある県都・津市」の創造を
  • 「津市民の命を守る」、「津市民の心をつなぐ」、「津市民のくらしを創る」

郷土津市のために

 「津のまちを良くしていこう」、この市民の皆さまの思いに迎えられ、県都津市、郷土津市の市政を担わせていただくこととなりました。
 皆さまの負託に応え、その思いを現実のものとすること、これが、私に与えられた使命であり、持てる力の全てを市政に傾注してまいります。
 平成18年1月、それぞれの歴史を積み重ねてきた2市6町2村が、新たな津市としてのスタートを切ってから5年が経過いたしました。合併前の10市町村の発展に尽力されてきた多くの先人の崇高な努力と、合併後の津市のまちづくりを支えてこられました議員各位をはじめ市民の皆さまに深く敬意を表します。
 合併後のまちづくりの効果、それは、一朝一夕に形となって現れるものではありません。
 しかし、合併前からの懸案でありました新最終処分場や新斎場の建設、合併による特例措置の期限、また、早急な見直しが迫られている危機管理などを考慮いたしますと、今後4年間のこの時期は、新しい津市の基盤を形づくるとともに、自立した行政を展開していくための行財政能力を整える上で極めて重要な時期になると考えており、その重責に身の引き締まる思いです。
 緑の山々と青い海、長い歴史の中で培われた多様な風土、県内における経済・教育・文化活動の拠点など、さまざまな資源を兼ね備えた津市は、県都として持続的に発展するに足る潜在的な力を有しているものと考えています。そして、生まれ育ったこの地を肌で感じ、あらためて、その思いを強くしました。
 「郷土津市のために尽くすこと」これが、私の初心です。愛着と誇りを胸に、津市が持つこうしたポテンシャルをさらに高めていくことで、未来に誇れる津市を創造してまいります。

市政運営の基本的な理念

 我が国は、低迷が続く経済、高齢化、少子化、グローバル化など多くの課題を抱えています。慢性的なデフレ構造が続く経済情勢とともに、生産年齢人口と年少人口が減少する一方で老年人口が増加する傾向は、福祉、医療、介護などの社会保障制度の改革はもとより、雇用、消費などに関わる社会経済システム自体の変革をもたらしています。また、3月11日に発生いたしました東日本大震災は、防災対策の在り方とともに、まちづくりの在り方をも大きく変えようとしています。
 これらは、紛れもなく私たちの日常生活に直結する大きな課題です。決して、さき送りできるものではありませんし、他力本願の姿勢だけで解決するものでもありません。
 「私たちが住み、生活していく地域」を「自らが主体となって」、「自然と向き合いながら」どのようにつくり、どのように後世に引き継いでいくのか、今一度、自治の原点に立ち返ることが求められていると考えます。
 そのためには、市民の皆さまと手を携え、共に考え、共に汗をかき、生活に直結する課題を一つ一つ着実に解決することが必要ですし、さらに、市民の皆さまとともに、津市の良さを発見し、創造し、育てていくことこそが、将来を見据えたまちづくりを進める上で最も大切なことであり、それが、高い文化と品格を備えた都市の創造につながるものと確信しています。
 「対話と連携」による「風格のある県都・津市」の創造。これが、私のまちづくりの原点であります。

早急に取り組むべき主な施策

 多くの皆さまの声を聞き、津市のまちづくりを進める上での主な施策を「市民の命を守る」「市民の心をつなぐ」「市民のくらしを創る」とし、早急に取り組んでまいります。

「命を守る」取り組み

 東日本大震災は、多くの尊い命を奪うという事態をもたらし、原子力発電所の事故は、そこに住む皆さまの日常生活を一変させてしまいました。被災地の一日も早い復興を心から願うとともに、これまでの想定を超えた災害にも動じることのないまちづくりを進めていくことが、市民の皆さまの幸せにつながるものとあらためて痛感いたしました。
 このため、地震、津波に限らず台風などの自然災害時に、市民の皆さま一人一人が安心して行動できるよう、津市地域防災計画の抜本的な見直しをおこなってまいります。例えば、津波発生時の一時的な避難場所として、中高層の堅牢な建築物を活用できるよう、所有者の皆さまへ協力をお願いし、協議が整い次第、速やかに、かつ、段階的に避難場所としての指定をおこなってまいります。
 これとともに、自治会や自主防災会の皆さまと地域における避難の在り方について十分な協議を行い、災害時の避難経路の確立を目指してまいります。さらに、津波や高潮対策の大きな砦となる海岸堤防の整備については、一日も早く完成できるよう、国、県に働きかけてまいります。
 次に、搬送先の病院が決まらず動き出さない救急車の問題であります。重症患者の方を搬送することができず、取り返しのつかない事態になることは何としても避けなければなりません。これまでも、みえ大学における救命救急センターの設置や、三重県を中心に、傷病者の搬送および受け入れの実施に関する基準が策定されるなどの取り組みが行われてきたところであり、ご尽力いただきました関係機関の皆さまにあらためてお礼申し上げます。
 今後は、こうした成果を十二分に生かし、迅速な救急搬送により、皆さまの尊い命を確実に守れるよう、地域医療に関わる方々とのより一層の連携強化を図ってまいります。これとともに、24時間フリーダイヤルの救急相談を開設することにより、急病時における市民の皆さまの不安解消を図ると同時に、救急車の適正利用と、一次救急、二次救急、三次救急の適切な受け入れ体制の確保につながるよう、鋭意取り組んでまいります。

「心をつなぐ」取り組み

 地域社会を支えてきたものは、それぞれの地域の日常生活の中で継承されてきた文化と風土、そして、支え合いの心であります。
 少子化、高齢化などに伴う社会構造の変化の中で、ともすれば、地域を支えてきた心が忘れ去られることが懸念されています。しかし、こうした時代であるからこそ、支え合いの心を守り、さらに、地域が持つ価値を発見し、高めていくための基盤づくりが必要です。
 このためには、例えば、それぞれの地域において、地域審議会などの既存組織の活用も念頭に、皆さまの声をしっかりと反映し、自らが主体となったより満足度の高い地域振興活動ができる仕組みづくりを進めると同時に、それぞれの地域の立場に立った市民サービスが提供できるよう、職員の意識改革にも努めてまいります。
 また、高齢者が地域から孤立することなく安心した生活ができるよう、高齢者の見守りを行う「生活・介護支援サポーター」の育成や地域支え合い体制事業を推進するとともに、施設サービスが必要な介護度の高い高齢者については、できる限りスムーズな入所ができるよう、本年度に策定します「介護保険事業計画」などを通じ、特別養護老人ホームなどの施設整備を促進してまいります。
 さらに、福祉分野のみならず、防災、教育、文化活動など「地域を守り良くしていこう」という市民の皆さまの諸活動の促進に努めてまいります。

「くらしを創る」取り組み

 暮らしやすいまちの条件、それは、そこに住み、学び、働き、憩うというさまざまな日常生活を営む機能が充足されていること、そして、人々が織り成すさまざまな活動の息吹が感じられることです。
 このため、中勢バイパスをはじめとした国・県道の整備促進や、生活道路、上下水道など生活基盤の整備推進に努めるとともに、新最終処分場、新斎場、屋内総合スポーツ施設、一部不通となっているJRめいしょう線の早期復旧といった市民生活に関連する重要課題につきましては、これまでの市民の皆さまの意向を形にするためにも、立ち止まることなく取り組んでまいります。
 また、地域経済の牽引役を果たすちゅうせい北部サイエンスシティやニューファクトリーひさいにつきましては、現在、企業からの引き合いもあるところであり、こうした状況を逸することなく、トップセールスも含めた積極的な企業誘致活動を進めるほか、新産業の育成や中小企業の支援などの産業振興を通じた雇用の創出にも努めてまいります。これとともに、働きやすく、子育てのしやすい環境整備として、保育所の待機児童解消に向けた施設整備を促進してまいります。
 人々の多様な交流の拠点となります都市核や副都市核などにつきましては、将来にわたり、本市の活力を創出する拠点として、議員各位をはじめ市民の皆さま、関係者の皆さまのご意見を伺いつつ、中長期的な展望に立って取り組んでまいります。

施策を推進するために

 諸施策の推進に当たっては、地域経済、地域社会の活力低下が懸念されている中で、現状の施策を推進することだけに満足することなく、先導的な施策の実施、新たな地域資源の開発など、積極的な取り組みを進める一方で、しっかりとした財政基盤を保ちつつ、できる限り市民の皆さまの負担を増やすことなく、より満足度の高い施策の展開に努めてまいります。
 行政サービスの提供に当たっては、複雑、多様化する市民の皆さまのニーズの中で、真に必要なサービスが何かをしっかりと見極めるとともに、健全性を念頭に置いた財政運営に努めていかなければなりません。
 事務事業の立案や実施に際しては、絶えず、市民感覚を持ちながら、その有効性や効率性を徹底的に検証する行財政改革の取り組みを強力に推し進めてまいります。
 さらに、市民の皆さまへの情報の提供、共有に努めるとともに、とりわけ、津市の良さを発見し、全国はもとより、海外にも向けた情報発信を積極的に行い、外部からの活力を呼び込むシティーセールスを進めることにより、津市の実力を高めてまいりたいと考えており、それが、市民の皆さまの津市に住んでいるという誇りになるものと確信しております。

おわりに

 多くの都市を歩き、幾度か地方行政に携わり、そして、郷土の地を踏みしめました。
 今、私が携えたものは、輝かしい未来の津市への切符です。進むべき軌道、それは、従来の延長線上に敷かれたものではありません。皆さまとともに築き上げてまいります。
 どこよりも素晴らしい地にたどり着けるよう、その志と情熱を持ち続け、市民の皆さまが「私は津に住んでいます。」と胸を張って誇らしく言っていただけるよう、「風格のある県都・津市」の創造に向け、渾身の努力を傾けてまいります。
 

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