「広報津」平成23年8月16日/第136号(音声読み上げ) シリーズ 津のひと・もの(11)

登録日:2016年2月25日

裏表紙

シリーズ 津のひと・もの(11)

伝統の中に新しい風を入れながら

 かつて、奈良と伊勢を結んでいた奈良街道の途中に位置する戸木町。この町に240年余り味噌・醤油を作り続けている醸造店がある。その世界に20代の若さで飛び込んだ倉田茂樹さん。京都で生まれ育った倉田さんが、母の実家であるこの醸造店に来たのは今から1年ほど前のことだ。
 「ここで働こうと決めた時、もともと会計の勉強をしていたので、経理や販売に携わるつもりでした。しかし、物を売るということは、その物が実際にどのように作られているのかといったことを知らなければ、商品の説明はもちろん、美味しさを伝えることもできないと考え、一から醸造を学ぼうと決心しました」と話す倉田さん。現在は、醸造作業と営業の両方をこなしている。
 「醸造を学び始めたころは、蔵の皆さんに迷惑を掛けることばかりでしたが、いろいろと教えていただいたおかげでこれまで頑張ってこられました。今の一番の楽しみは、昨年自分で一から仕込んだ醤油や味噌が完成することです。ただ、醤油・味噌は出来上がるまでに2年から3年かかりますので、商品として出せるのは、まだ1年以上先のことですが…」と出来上がりを心待ちにする倉田さん。
 店は三重県のまちかど博物館に認定されていて、店内や蔵の様子などを見学することができる。「味噌や醤油が蔵の中でどんなふうに醸造されているのか、それも見てもらえればと思います」と話してくれた。また、かつて店の事務所として使用していた大正時代の面影を残す建物は、見学者の休憩場所や地元の子どもたちの絵を展示する場所としての活用を考えている。「この店を地域の皆さんの触れ合いの場にできればと思っているのです」と想いは膨らむ。
 「これからは三重県産の大豆や米にこだわり、皆さんに喜んでもらえるような味噌・醤油を作り続けて、いつまでも地元に愛されるお店でありたいと思います」と夢は尽きない。長く受け継がれてきた伝統に、新しい風を入れながら、店の味を未来へと伝えていくのだろう。


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