「広報津」平成25年5月16日/第178号(音声読み上げ) 歴史散歩(84)

登録日:2016年2月25日

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歴史散歩(84)

新たに国登録有形文化財に登録 八太正太夫[はったしょうだゆう]酒店

 三重交通「馬場」バス停から細い路地を北に進むと、右手に黒と白のコントラストが美しい複数の建物が現れ、ひときわ目を引きます。南側から下[しも]の蔵、向[むか]い座敷、蔵前、蔵と呼ばれる4つの建物が連続しており、規模や構造は異なりますが、外壁はいずれも漆喰[しっくい]塗りと下見板張りで統一されています。これが、今年3月に新たに国登録有形文化財に加わった八太正太夫酒店の建物です。
 八太家は、香良洲町で18代を数える地主・酒造業の家系で、かつては「エビス鯛」などの銘柄で醸造もおこなっていました。歴代の当主は代々「正太夫」を称しています。
 下の蔵の内部は、隔壁で3つに分けられており、南寄りの区画は土間床で精米場として使われ、北寄りの2区画は板床で物入れとして使用されていました。下の蔵と蔵前の間には向い座敷が設けられており、内部は独特の数寄屋風の意匠になっています。
 蔵前は2階建てになっており、2階部分には数寄屋風の小座敷が設けられ、窓からは邸内や集落を眺望できる趣向になっています。望楼のような外観を持った蔵前は、八太邸の建物の中でもひときわ高く、特徴的な景観をつくっている重要な要素です。
 蔵は八太邸の道具類を収納するために設けられた道具蔵です。また、敷地の北西角には、角[すみ]蔵と化粧室があります。角蔵は八太家の江戸期以来の売掛帳などの文書類を収蔵する場所で、化粧室は同家の婦人が身だしなみを整える場として使われていました。
 この他、蔵や角蔵・化粧室の東側に建つ主屋[しゅおく]も、この地域の伝統的な民家の建築形式をもとに、材料や意匠を洗練させた近代和風建築で、老舗の造り酒屋の風格を醸すものとして登録されました。
 今回登録された建物は、いずれも明治時代にさかのぼる建物と考えられており、国の登録原簿には「八太正太夫酒店 主屋」「同 蔵及び蔵前」「同 角蔵及び化粧室」「同 向い座敷及び下の蔵」の4件として登録されました。香良洲地域では初の登録有形文化財となり、市内の国登録有形文化財は合計で13件になりました。

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