「広報津」平成25年6月1日/第179号(音声読み上げ) 第9回 市長対談 海外との経済の活性化を目指して

登録日:2016年2月25日

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第9回 市長対談 海外との経済の活性化を目指して

駐日フランス大使 クリスチャン・マセさん

4月13日、駐日フランス大使のクリスチャン・マセさんをお迎えし、産業拠点としての津市の魅力やフランスと津市の経済交流について、前葉泰幸[まえばやすゆき]市長がお話を伺いました。対談は英語で行われましたが、日本語訳でお届けします。

ようこそ津市へ

市長 ようこそ津市へいらっしゃいました。

マセ 前葉市長、そして津市民の皆さん、ボンジュール(こんにちは)。津市への訪問は初めてなのですが、とても素晴らしい街ですね。前葉市長とは、これまでも東京のフランス大使館でお会いして、津市の魅力をたくさんお聞きしていましたが、再びこのような美しい場所でお会いできて本当に光栄です。海は美しいし、太陽の光も素晴らしく、素敵な場所ですね。

市長 ありがとうございます。マセ大使とお会いするのは今回で3回目となりますね。あらためて津市民を代表し心から歓迎いたします。マセ大使は2011年(平成23年)12月に駐日フランス大使に就任され、これまでの1年6カ月の間、日本の各地を訪問されてみえると思いますが、日本の印象はいかがですか。

マセ 駐日フランス大使になる前から何度か日本に来る機会がありました。2008年(平成20年)の洞爺湖[とうやこ]サミットで来日した時には、津に近い名古屋も訪問したことがあります。その時から、この地域はとても美しい場所だと思っていました。実際、日本で暮らしてみるとさらに多くの発見がありますし、本当に美しい国だとあらためて感じます。本当の日本の姿は東京以外の地域にあると思っていますので、いろんな地域を訪れることがとても好きです。そして津にはこのように美しい砂浜の海岸や、おいしい食べ物や日本酒もあると聞いています。

市長 日本酒がお好きなんですね。

マセ はい。とても気に入っています。それと津の近くには伊勢神宮もありますね。伊勢神宮は海外から日本を訪れる旅行者にとっても特別なところなんです。そのような場所が近くにある津市は、とても魅力的ですね。

市長 日本の地域のことをよくご存知なのですね。津のことも知っていただいていることに、とても感激しています。

海外企業から見た津市の魅力

市長 私は市長に就任する前、フランスのパリに本社のある国際投資銀行に5年間勤めていたのですが、その時は3カ月に1度ぐらい、パリに出張していましたので、私自身もフランスにはとても愛着があります。現地の同僚といろいろな話をすることができましたし、もちろん、フランスのワインもおいしいですしね。

マセ フランスに本社のある企業で勤務経験をお持ちの前葉市長は、以前からフランスとのつながりがあるのですね。

市長 はい。フランスは私自身にとって、とてもゆかりのある地なんです。その後、市長に就任してからフランスの企業「サンゴバン社」に津市への立地を決定していただきました。この時はマセ大使をはじめフランス大使館にもご協力いただき、そのおかげもあってスムーズに誘致を進めることができました。

マセ サンゴバン社の日本法人であるマグ・イゾベール社が津市への進出を決めたことは、私たちにとっても大変関心がありました。同社が新工場を立地するにあたって、フランス大使館としても、できる限りの支援をしてきましたが、前葉市長がどのように誘致交渉を進められ、新工場の立地につながったのか、とても興味があります。

市長 東日本大震災後、マグ・イゾベール社は生産拠点のリスク分散のため、関東地方の基幹工場に加えて、関西地方への進出を決定され、その進出先としていくつかの候補地を挙げていました。その後2011年(平成23年)8月に、マグ・イゾベール社のCEOであるフランソワ・ザビエ・リエナールさんがニューファクトリーひさいの視察のために津市を訪れ、私も鈴木英敬三重県知事と一緒にお会いしました。昼食を取りながら終始フランクな雰囲気で会話も弾み、その時に生産拠点としての津市の優位性についてアピールしました。単に生産拠点として優れている点だけでなく、フランスの方々が好む「緑あふれる良い環境」であることも、ニューファクトリーひさいへの進出を決定していただいた大きな理由だったようです。

マセ マグ・イゾベール社のフランソワ・ザビエ・リエナールさんのことは、私もよく知っています。彼は「津は交通の便も良く、ビジネスを拡大し根付かせるために非常に理想的な場所である」と語ってくれました。

市長 それはとてもうれしいですね。また、同社は2015年(平成27年)末までに150億円の出資を計画していて、地元の大学や高校からも75人ほどの新卒者を雇用することを予定しています。これは同社が地域に密着した日本の企業として、この地に溶け込もうとする姿勢のあらわれで、これがとても重要なポイントなのです。

マセ 日本の企業として、日本人や日本の技術者と共に働くという考え方ですね。

市長 そうなんです。大きな投資だけでなく、地域や地元の企業とのつながりを持っていただけるので、私たちは同社の進出を歓迎しています。そして、大企業だけでなく中小企業もフランスと交流を深めたいと望んでいるのです。

マセ 昨年末、前葉市長にお会いした時、日本とフランスの中小企業間の交流についてお話を聞かせていただきましたが、中小企業間の交流は大きな可能性を秘めていると思います。一番大切なことは、これまで取り組んできた日本とフランスの両地域、そして企業同士の交流を津市が今後どのようにサポートしていくかということです。

長所を融合して強さを増す

市長 フランスの企業は、海外展開に向けたビジネス能力に長けています。津市内にあるいくつかの中小企業も、海外での事業展開を望んでいます。その両者が協働することはとても重要で、お互いの長所を生かしていけば、世界を視野に入れたビジネスを展開することが可能になると思います。

マセ それは重要なポイントですね。それぞれが持つ能力や知識、マーケットは異なっていますが、両者が融合することによって強さを増し、さらに良い業績につなげていけます。それによって、日本とフランスだけでなく、他のアジアの国々やヨーロッパの国々にも市場を拡大することができるでしょう。そして、もうひとつ重要なことは、2013年(平成25年)3月に日本とEUが経済連携の交渉を開始することに合意したことです。

市長 経済連携協定ですね。

マセ この協定を結ぶことで、これまで以上にビジネスチャンスが増えると考えられますので、今からそのための準備をしておくことが必要です。日本とフランスの企業同士の交流は、今後のビジネスチャンスを生かすための価値ある行動だと思います。

市長 経済連携協定の交渉が始まることで、公的な支援を必要とする企業もあると思います。津市は2012年(平成24年)11月にパリ地域経済開発局との間で、産業分野における経済交流協定を結びました。この協定は、フランス企業と津市内の企業との経済分野における交流の促進と、商談を成立させるためのさまざまな情報提供を行い、最終的には合意に向けた支援を行うものです。この他に、国際的な貿易会社で勤務経験がある海外連携コーディネーターを配置し、中小企業にさまざまな情報を提供して、企業の実務活動のサポートもおこなっています。

マセ フランス大使館としても、津市が行う経済交流の取り組みや活動を喜んで支援していきたいと思います。他の自治体の手本になりますし、日本とヨーロッパの企業間のビジネスチャンスにもつながると思います。

市長 ありがとうございます。こういった経済交流の支援が近い将来、企業の実績として成果があがることを願っています。

マセ 私もそう願っています。この後、前葉市長のコーディネートのもと、津市内の中小企業の皆さんとお話する機会を設けていただいています。企業の皆さんとお会いして、さまざまなお話ができることにとても期待しています。

市長 ありがとうございます。企業の皆さんもマセ大使とお会いできることをとても喜んでいます。それぞれの取り組みや日々の努力の成果を今後どのように結実すれば良いか、ぜひアドバイスいただければと思います。今日は中部国際空港(セントレア)と津市を結ぶ高速船ターミナル「ベイシスカ」でお話をお伺いしています。実はこの「ベイシスカ」という名前は、「bay(港) sea(海) sky(空)」の3つの言葉から名付けられているんです。そろそろ高速船が到着する時間ですので、外へ出て、船の近くでお話の続きをお伺いしたいと思います。

マセ それは素敵ですね。ありがとうございます。

世界へつながる津市

市長 ちょうど今到着した船はセントレアと津を45分で結ぶ高速船です。この高速船で快適にセントレアまで行くことができるんですよ。津市は、ここから世界へつながっているんです。

マセ まさにそうですね。この高速船はとても印象的です。津市は立地に恵まれていますし、このような近代的な高速船もあって、人々が集う活気のある、国際的な街だという印象を受けました。

市長 ありがとうございます。経済が重要なことは言うまでもありませんが、交通アクセスの整備はもちろん、一人一人の市民生活も大切ですし、津市と市民の豊かさ、そして経済の活性化を目指し、今後も頑張っていきたいと思います。

マセ 国際化が進む中、特に世界との経済の結び付きは重要な要素ですね。サンゴバン社が津市に進出を決定した決め手は、やはり津市との良好な関係があったからこそだと思います。

市長 本日は津市にお越しいただき、ありがとうございました。

マセ ありがとうございました。津市のことをいろいろ紹介いただき、そして素晴らしい天気に恵まれたことに感謝します。

駐日フランス大使 クリスチャン・マセ

1957年生まれ。パリ政治学院およびエセック経済商科大学院大学を卒業。国立行政学院卒業後、フランス外務省に入省。2007年外務省経済・財務局長、2009年グローバル化・開発・パートナーシップ総局長に就任。2011年12月より駐日フランス大使に就任。

◆お知らせ◆
市長対談は、津市ホームページ・市長の部屋の市長対談でもご覧いただけます。

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