「広報津」平成25年11月16日/第190号(音声読み上げ) 歴史散歩(90)

登録日:2016年2月25日

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裏表紙

歴史散歩(90)

市指定有形民俗文化財 種子碑[しゅじひ]

 安濃川に沿って通る県道芸濃大山田線沿いの安濃町荒木地区に、「市指定文化財 種子碑」の案内板があります。それに従って県道から100メートルほど進むと、木々に囲まれたかつてお寺があった場所の一角に、細長い自然石に文字(種子)が彫られた碑が立っています。この碑は高さ2.2メートル、最大幅60センチメートル、厚さ58センチメートルの大きなもので、市指定有形民俗文化財に指定されています。これは昔、洪水で流れ着いて安濃川の川原の土手に祭られたといわれていますが、再び洪水で埋まったため、この場所に移されました。
この碑の名称「種子碑」の種子とは、仏や菩薩[ぼさつ]の像の代わりに、それを表示した梵字[ぼんじ]のことで、仏や菩薩の恩恵や功徳が限りなく生じることを、草木の種子に例えて言ったことによります。この碑の種子(梵字)は、擦り減って見づらくなっていますが、上部は阿弥陀[あみだ]如来、その下の左右は勢至[せいじ]菩薩と観音菩薩、下部は地蔵菩薩を表しています。これらは阿弥陀三尊と地蔵を薬研彫りで表現していて、安濃川に関わった人の弔いなどのために祭られていたと考えられます。
 また、周辺の人々は、この碑を「大日様」(大日如来)と呼んでお参りしていますが、いつ、どんな理由でそのように呼ぶようになったかは分かっていません。
 この碑の下部には南朝方の年号である「延元元年」(1336年)と読める文字が彫られていて、これは北朝方では建武三年に当たる年です。このことから、当時この辺りは南朝方に関係していたことがうかがえ、歴史的に価値の高い、南北朝時代(1336年から1392年)の石造物といえます。碑が建てられた時代背景などに思いをはせて、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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