「広報津」平成26年1月1日/第193号(音声読み上げ) 歴史散歩-新春特集- 川喜田半泥子

登録日:2016年2月25日

  このページは、音声読み上げソフトウェアに対応するため、語句のなかで一部ひらがなを使用しています。
 広報津(PDF版)は広報津(PDF/6.70MB)からご覧いただけます。

 

 8ページ目から9ページ目  

歴史散歩 -新春特集-

川喜田半泥子 kawakita handeishi(1878年から1963年)

 商家の長男に生まれ、実業家として地域経済界の要職を務める傍ら、陶芸家として、あるいは趣味人として、書・絵画・工芸・写真などのさまざまな芸術分野にその足跡を残した川喜田半泥子。多忙な日々の中で、その芸術世界に「しゃれ」や「遊び心」を忘れなかった彼の生涯をたどります。

 明治11年(1878年)、川喜田半泥子は川喜田久太夫家15代政豊の長男として生まれました。本名は川喜田久太夫政令[まさのり]、幼名を善太郎といいます。川喜田家は寛永年間(1624年から1644年)に創業した木綿問屋で、伊勢国に本拠を置き、江戸大伝馬町に江戸店を持つ豪商でした。
 しかし、幼いころの半泥子は幸せとばかりはいえませんでした。祖父・父を相次いで亡くし、1歳で家督を相続、母とも別れた半泥子は祖母政から教育を受けて育ちます。政の勧めもあり、幼少期より禅道に入って学び、それが後の彼の人生に大きな影響を与えたようです。
 25歳で百五銀行取締役に就任した半泥子は、その後も百五銀行頭取ほか数々の企業の要職をこなし、また津市議会議員、三重県 議会議員として、経済・政治など幅広い分野で活躍しました。
 多忙な日々の中で、青年時代より芸術に関心を寄せていた半泥子は、茶道、油彩画、日本画、俳句と、その多芸ぶりを発揮していきます。
 陶芸家として広く知られる半泥子は、子どものころから焼き物が好きだったようですが、本格的に始めたのは還暦近くになってからといわれます。昭和初期には、自宅のある千歳山に初めて小さな登り窯を築いて、若き陶工らと交流し、研究と修練を重ねていきました。戦後ははせ山中腹にある広永に窯を移して会社組織とし、弟子たちと共に作陶を楽しんだようです。
 半泥子という号は「半ば泥[なず]みて半ば泥[なず]まず」という意味があり、すべてに熱中する半泥子のことだから、家をつぶしてはならない、すべて半ば泥むがよかろうと、禅の師が命名したといわれます。師の教えは、その人間性にも反映され、生み出された作品には他のものにはまねできない、絶妙なバランスと間がありました。
 このような創作活動のほか、半泥子が力を尽くしたことに、地域文化の振興があります。昭和5年(1930年)には財団法人石水会館(現在の公益財団法人石水博物館)を設立し、さまざまな事業を手掛け、教員の海外視察派遣や小児健康相談などの教育・福祉事業をはじめ、ホール、テニスコートなどを市民に開放して、美術展、講演会、音楽会、映画会、演劇などの文化事業も行いました。
 このように、幅広い分野で活躍した半泥子は、昭和38年(1963年)10月26日、老衰のため84歳で亡くなりました。半泥子の残した作品は、独自の世界を構築し、今も人々を魅了し続けています。

問い合わせ 生涯学習課 電話番号229-3251 ファクス229-3257

-川喜田半泥子の創作の地- 千歳山の整備

 市街地にまとまって緑が残された貴重な地、千歳山。平成20年4月にこの地の寄附を受けた津市では、地元の代表者や有識者などで構成する「津市千歳山を考える会」での協議や市民現地視察会でいただいた意見をもとに、千歳山を特色や強みに応じた3つのゾーンに分け、残された貴重な自然を保全するとともに、現存する工作物なども活用し、市民の皆さんが半泥子が過ごした往時を感じることができ、文化や芸術を発信できるような公園として整備を進めます。

3つのゾーンに分類

水辺空間を活かしたゾーン
 
千歳池を中心とした豊かな水辺空間を活かしたゾーン

豊かな自然を保全するゾーン
 
巨木等の豊かな自然を保全するゾーン

歴史的な工作物を活かしたゾーン
 本宅跡や千歳文庫などの残された歴史的な工作物等を活かしたゾーン

整備スケジュール(平成26年から32年度)

基本計画の作成
 
敷地の立地条件などを分析評価し、空間構成や動線など公園の基本的な内容を決定

基本設計の作成
 
基本計画に基づき、公園などの骨格となる施設配置、諸施設の形状、基盤施設、植栽などの概略を設計

実施設計の作成
 
基本設計に基づき、安全性や機能性、デザイン性などの面から詳細な検討を行い、具体的な工事の内容を設計

工事着手
 
実施設計に基づき工事開始

問い合わせ 政策課 電話番号229-3101 ファクス229-3330
 

記事の先頭へ 目次へ

 

4ページ目から7ページ目

10ページ目から11ページ目へ

このページに対するアンケートにお答えください

このページは見つけやすかったですか?
このページの内容はわかりやすかったですか?
このページの内容は参考になりましたか?

このページに関するお問い合わせ先

政策財務部 広報課
電話番号:059-229-3111
ファクス:059-229-3339