「広報津」平成26年6月16日/第204号(音声読み上げ) 歴史散歩(97)

登録日:2016年2月25日

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裏表紙  

歴史散歩(97)

御殿場の境松

 津の海は、遠浅で穏やかな海岸が続き、春から夏にかけて、潮干狩りや楯干し[たてぼし]、海水浴などに訪れる多くの人でにぎわいます。
 そんな津の海岸の一つ、御殿場海岸の市駐車場前に、大きな松の切り株と石柱があります。この切り株は直径が約75cmもあり、石柱の正面には「矢野村漁業組合漁場基點標[きてんひょう]」、その左面には「是ヨリ七十七度ノ方位線以南」、右面には「本標ノ位置漁場基点境松中心ヨリ七十七度ノ方位四尺ヲ距[へだ]ツ」、裏面には「大正十年四月十五日建設矢野村漁業組合」と記されています。この内容から、石柱の隣、約1.2メートル(四尺)のところにある切り株が「境松」と呼ばれ、矢野村漁業組合(現在の香良洲漁業協同組合)の漁場区域の基点であったことが分かります。
 境松は、かつては店の庇[ひさし]から突き出して威容を誇った老松でした。ところが、昭和60年8月の台風で倒れたため、2メートルほどの高さのところで伐採され、現在は切り株だけが残っています。
 境松の由来は古く、江戸時代に津と矢野村の漁師の間で、しばしば漁場をめぐる争いが起きていたことから、漁場の境界として松を目印にしたとされています。現在残っている切り株が江戸時代の境松と同じものであるかどうかは定かではありませんが、伐採されてから30年近くがたった今も、幹の周りを竹で囲って大切に保護されているのは、この切り株が、現在も香良洲漁業協同組合の漁場区域北限を定める基点になっているからです。
 境松の往時の姿は失われてしまいましたが、今も残る切り株は、これからも津の漁場の基点として歴史を刻み続けていきます。

 

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