津市 - 「広報津」平成27年6月16日／第228号（音声読み上げ）　シリーズ人権（63）

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シリーズ人権（63）

わたしを変えた一冊の本

　「しょうがいがあるのは私の体ではありません。しょうがいがあるとすれば、それは健常者と同じような生活を送ることができない、私の周りの環境であり、無理解・無関心からくる偏見や差別心です」
これは私が以前受講した講演会で聞いた講師の言葉です。
この言葉を聞いて、私は小学生の頃に読んだ1冊の本を思い出しました。題名や詳しい内容までは覚えていませんが、その本の中には、大人になった今でも、ふとした瞬間に思い出すとても印象に残っているページがありました。それは満面の笑顔で写るしょうがい者の写真と、その隣に書かれた「かわいそうだなんて思わないでください」という一言でした。
小学生の頃、よく両親から「みんなと仲良くしなさい」「困っている人がいたら助けてあげなさい」などと言われていた私にとって、しょうがい者とは周囲の人の支えや助けが必要な弱い立場の人というイメージでした。そのため、本に書かれていた自分の考えとは異なるこの一言に、当時の私は衝撃を受け、どういう意味なのかといろいろ考え悩んだ記憶があります。そして、この時から、私のしょうがい者を見る目が変わったことを覚えています。
しょうがい者だから、高齢者だから、男だから、女だからなどという枠組みだけで人を判断し、相手の気持ちや考えを決めつけることは、相手を傷つけたり、嫌な思いをさせたりすることにつながります。
環境の整備はバリアフリーが進めば少しずつ改善されていくでしょう。そして、偏見や差別は、一人一人を理解しようとすること、人を人として尊重することで、なくすことができるはずです。
私自身も一人一人を大切にできているかどうかを振り返りながら、誰もが安心して暮らせる社会づくりの担い手として歩んでいきたいと思います。