「広報津」第253号(音声読み上げ)市長コラム、市長の活動日記から

登録日:2016年7月1日

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市長コラム 助けあいで災害から命を守りましょう

津市長 前葉 泰幸

このたびの熊本地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

災害列島とも呼ばれる日本はこれまでにもたびたび激甚災害に見舞われてきました。過去最高の10個の台風が上陸し、阪神淡路大震災以来の大災害といわれた平成16年、7月の梅雨前線豪雨における人的被害が集中したのは高齢の方々でした。その反省を踏まえ、災害時に自力で避難することが難しい方への支援が大きな課題となり、手助けが必要な方の名簿づくりの取り組みが全国で始まりました。

避難時に支援を希望される方は、ご自身の個人情報が記載された名簿が支援関係者に提供されることに同意する必要があります。津市では民生委員が1年かけて対象世帯を個別訪問しておひとりおひとりに意思確認を行いました。同意された方を登載した「災害時要援護者名簿」は平成23年春に完成しました。

その後、市政懇談会で地域を回ったときのことです。民生委員の方から気になる話を耳にしました。「名簿は自治会や自主防災組織の手に渡っていないのではありませんか?登録を済ませた方から『何か起こった時、私のところには誰が来てくれるの?』と聞かれたのですが、答えられませんでした」。

名簿には支援を希望される方の氏名や住所、連絡先などの個人情報が含まれることから、名簿を受け取る方には守秘義務が課せられます。そのため、津市は自治会長などに名簿をお渡しする際、記載された個人情報を漏らさないという誓約を求めなければなりません。なかには情報管理に難色を示される方もいらっしゃり、受け取りを拒まれた100近い地域の名簿が宙に浮いたままとなってしまっていたのです。

様々な制約に阻まれ、支援を要する方々の名簿の作成や運用がスムーズに進まないといった状況は津市に限ったことではなく、東日本大震災においても、被災した多くの自治体が名簿を避難支援や安否確認に生かすことができませんでした。震災の犠牲者の6割は65歳以上の高齢者であり、障がいのある方についても、そうでない方の2倍となっています。支援する側の消防・警察や民生委員の方々も大勢亡くなられています。

国は、この問題を解決しようと平成25年6月、災害対策基本法の一部を改正し、「避難行動要支援者名簿」の作成を市町村長に義務付けました。自治会・自主防災組織・民生委員・社会福祉協議会・消防団・警察など避難支援をする者に名簿を開示することを規定し、災害から命を守ることは個人情報保護に優先することを法律上明らかにしたのです。ところが、名簿の開示は発災後に限られ、事前に活用するにはこれまで同様個々の名簿登載者の同意が必要とされたのです。

災害に同じものはひとつとしてありません。現場では臨機応変な対応が求められるなか、災害が起こってから名簿の封印を解いているようでは手遅れになりかねません。普段から、支援が必要な人も、支援する人も、ひとりひとりが災害に備えて自身の安全確保に努めながら避難の助け合い体制を整えていくことが大切なのです。

そのために津市はさらに手を打ちました。名簿の事前活用の同意ができる限り多くの対象者から得られるよう条例を新たに制定し、名簿登載拒否の申し出がない限り同意があったものとみなす規定を盛り込んだのです。同種の規定を持つ市は全国的にもごくわずか、先進的な条例です。

今年春、対象者の96.5%にあたる17,251人がリストアップされた「津市避難行動要支援者名簿」が完成し、支援する方々に共有されました。いざという時の声掛けや安否確認はご近所同士が一番です。地域の方からの情報なくしては消防や警察の公的な救助活動もままなりません。ぜひ市民の力でまちの防災力を高めていきましょう。

市長の活動日記から

熊本地震に伴う派遣職員による活動報告 5月11日、30日

熊本地震の発生直後から、5回にわたり計10名の職員を被災地へ派遣しました。これまで給水活動・被災建築物応急危険度判定・ごみ収集業務などの支援活動を行いましたが、今後も要請に応じて支援を継続してまいります。

国際交流授業を創設(西橋内中学校) 5月19日

インターネットテレビ電話「スカイプ」を使った授業が西橋内中学校で始まりました。県内初の取り組みで、豪州の日本語を学習する生徒たちと、年に10回程度英会話で交流します。美杉中、修成小、豊が丘小でも順次開始します。


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