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津市北部の河芸地域を流れる田中川は、決して大きな川ではありませんが、その河口には大きな干潟が広がっています。ここは伊勢湾西岸の湖沼型干潟として、川越町高松干潟と並び貴重な自然景観が残り、さまざまな生物が確認されてきています。
この田中川干潟は、現在、左岸側はマリンレジャーでにぎわうマリーナ河芸にその姿を変えましたが、右岸側は今もなお約5.5ヘクタールの広大な姿を残しています。
一時は、干潟の生物が激減したものの、水の出入りを可能とする空石積という自然石を積んだ護岸整備により生態系を守る配慮がなされ、潮の干満によって海水と真水が入り混じり合う汽水域には、再びさまざまな生物の姿が見られるようになってきました。
植物では、ハマボウフウやハマサジ、ハママツナの群落が大きく広がり、堤防沿いのハマボウの古木は7月中旬ごろに大きな花を咲かせます。また、動物では、三重県の鳥シロチドリの繁殖地としても知られ、カニの一種で国の準絶滅危惧種でもあるハクセンシオマネキの生息も確認されています。他にも多種多様な貝類や魚、昆虫などが生息し、海に面する浜辺では産卵するアカウミガメの姿も見られます。
こうした豊かな自然が残る干潟周辺には、毒をもつエイやガンガゼ、カツオノエボシなどもいますが、子どもたちが海の生態を知るための大事な学習の場にもなっています。
近年、地元のボランティア団体を中心に清掃活動が行われ、その自然景観が守られている田中川干潟。マリーナ河芸の展望塔から一望できる河口の対岸では、豊かな生き物の活動が静かに営まれています。
あずき色に輝く芸濃ずいき。
自然が一緒に育ててくれます!
JA津安芸農産物産直部会
坂口 幸壽さん
ミネラルや食物繊維が豊富で、健康食品としても近年注目を浴びている、ずいき。八頭と呼ばれるサトイモの茎を大きく育てた野菜で、みずみずしくシャキシャキした食感が夏を感じさせる。中でも、芸濃地域で栽培される“芸濃ずいき”は赤紫の発色が美しく、京都の料理人から愛される高級食材で、生産量の9割以上が京都市場に出荷されているという。「布引山地に広がる酸性の黒墨土は、日光によって熱されにくく、保水力が高いこともあって、芸濃ずいきを美しいあずき色に輝かせてくれる。」と、坂口さんは大地の恵みに感謝する。「ずいきの旬は6月から8月の暑い時期。日が昇る前に畑へ出て農作業をしていると、ウグイスが鳴き始め、それにヒバリ、ホトトギスが続く。私たち農家は、自然と一緒に働いています。大変でも、楽しい仕事ですよ。」
津市の農林水産業をもっと元気にするため、ブランド品目として推進している13品目の産品
次回は「梨」