「広報津」第281号(音声読み上げ) 表紙、第36回市長対談

登録日:2017年9月1日

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表紙

広報津 平成29年9月1日 第281号

夏の思い出いっぱいできたよ

写真 津市森林セラピー基地イベント 火の谷温泉コースウォークと川魚つかみのひとコマ。流しそうめんでお腹いっぱい(7月23日 美杉町八知)

第36回市長対談 地域福祉のつなぎ役

三重県民生委員児童委員協議会会長 はやみ まさみ さん

津市長 前葉泰幸

平成29年7月5日、三重県民生委員児童委員協議会会長の速水正美さんをお迎えし、制度創設100周年を迎えた民生委員児童委員の地域に根差したさまざまな活動について前葉泰幸市長がお話を伺いました。

市長 今年は、民生委員という制度ができて100周年の年にあたります。まずは、速水さんご自身が民生委員になられた経緯をお聞かせ願えますか。

速水 平成18年5月に前任の方が体調を崩され、自治会長さんから民生委員をしてくれないかというお話をいただいたのがきっかけです。その前年に亡くなった父が自治会長をしていたり、母も保護司をしていたりしましたので、私もそろそろ地域の方のために何かしなければという思いでお受けしました。月に1回程度会議に出たらいいというような話でしたが、いざなってみますとなかなか忙しい仕事でした。

市長 最初の説明よりも中身はより大変だったというわけですね。民生委員さん児童委員さんは、皆さまそのように世の中の役に立つことをという思いでお引き受けくださっています。従って、そのご活動の中で、地域をもっと良くしたいという思いを常にお持ちです。そのことに私も気付きまして、市長になって2、3年たったころから、民生委員児童委員の各地区の集まりを訪問するなど、市政懇談会を約2年かけて開催しました。この時に、高齢福祉や障がい福祉、児童福祉についていろいろなご意見をいただいたのですが、速水さんご自身が活動をしていく中で心に残っていることをお話しいただけますか。

速水 民生委員になって2年目くらいのことでしたが、私よりも2つほど年上の方が2日間くらい自転車を動かした様子がないということで訪問したところ、部屋で倒れて亡くなられていたことがありました。先日も95歳のお年寄りの家を訪問した民生委員が、玄関が施錠されていないにもかかわらず声を掛けても出て来ないということで警察と一緒に私が訪問したところ、脱水症状でベッドから動けなくなっておられ救急搬送しました。児童委員としては小学生の下校の見守りや七夕のお祭り、夕涼み会などに出させていただいて、地域の子どもたちと顔見知りになれるのはうれしいことです。高齢者に対しては心配事の方が多いのですが、こういった経験は民生委員の活動をしていて良かったことかと思います。

民生委員制度創設100年 時代とともに変化する活動

市長 地域に根ざした活動をしていただいているということですね。さて、100周年を迎えた民生委員制度は済世顧問制度として岡山県で生まれた制度です。その頃は第1次世界大戦末期で、物価の高騰から米騒動が起こるなど非常に社会不安が拡大していました。大正5年に岡山県知事が大正天皇から県下の貧民の状況はいかにと尋ねられ調査したところ、県民の1割くらいが悲惨な生活をしていることが判明したそうです。その結果、大正6年5月から篤志家が生活に困った方の相談相手となる済世顧問制度が始まりました。従いまして、住民の生活実態を把握して具体的に対応していくことが、民生委員の取り組みの原点だと思います。100年前のことなので、時代とともに変化してきているのでしょうね。

速水 100年の歴史の中で活動の中身も世の中の状況も変わってきています。大正12年になるとそれまでの済世顧問制度から方面委員制度という全国統一の制度が施行され、三重県方面委員設置規定に基づいて津地域も61名の、方面委員が任命されたという歴史があります。昭和21年には方面委員が民生委員という名前に変わり、その当時は生活保護の方を中心に民生委員が生活状況の見守りをしていました。平成12年からは、地域の功労者が就くような名誉職ではなくなるなど民生委員法が少し変更された部分があり、それに伴って活動の中身も民生委員の意識も変わったのではないでしょうか。

市長 津市では、598名の方が民生委員として活動されていますが、全国では23万人が、去年の12月に改選されて3年の任期でお務めくださっています。厚生労働大臣からの委嘱状をお渡しするときに皆さんにお話ししたことは、1つは介護保険の仕組みの中で、要介護の状態にならないための介護予防、日常生活の支援を津市も含めた各市町村がやっていこうという介護予防・日常生活支援総合事業が始まること。もう1つは、住み慣れたところで元気に過ごしていただく時間をできる限り長くする地域包括ケアシステムを作っていくことが今の我々の課題であるということです。このような状況の変化の中で活動され、いろいろお感じになっていることもあると思いますが。

速水 津市の定数は612名ということで、7月1日現在、598名の民生委員が決まりましたが、97.7パーセントで14名の欠員があります。そのうち再任は310数人です。1人で2つか3つの自治会を担当しているので自治会ごとに1期交代で民生委員を出そうとすると、どうしても継続率の低さにつながります。継続していくともっと細かい活動ができるのではないかと思います。民生委員は介護や児童のことについてプロではないので、専門の団体や行政とのつなぎ役として頑張っていきたいと思います。

高齢者と子どもをつなげる 地域ごとにさまざまな工夫

市長 民生委員はお一人お一人の活動ですが、横の連絡を取ろうということで、速水さんには津市民生委員児童委員連合会の会長をお務めいただいているわけです。さらに各市町の民生委員さんの集まりが横の連絡を取るため三重県民生委員児童委員協議会があり、その会長もお務めいただいています。従いまして、速水さんは津市以外の市町の活動についてもいろいろと情報をお持ちかと思いますが、重なる部分やユニークな部分はありますか。

速水 民生委員には単位民児協と言いまして、一定区域ごとに民生委員児童委員協議会を作りなさいと法律で決められています。津の場合ですと21単位民児協があり、そのまとめを津市民生委員児童委員連合会や三重県民生委員児童委員協議会が行っています。各地域でよく似た活動をしていますが、ユニークなものでは名張市がこんにちは赤ちゃん訪問として、赤ちゃんが自分の担当地域で生まれると保健師さんと主任児童委員が一緒に訪問する活動をしています。四日市市では、地域子育てネット0から6活動といって0歳から6歳までのお子さんのところへ家庭訪問をしています。

市長 毎年ですか。

速水 6歳までは毎年訪問します。また、小学校へゲストティーチャーとして民生委員が訪問することもありますし、高齢者の方と民生委員が一緒に食事会をする地域もあります。いろいろな工夫をしながら高齢者や子どもたち、赤ちゃんとの接点を作っていく努力をしています。

市長 県下のいろいろな活動をご紹介いただきましたが、速水さんご自身も子育てのためのいろいろなサロンや、若いお母さんたちの集まる場所を作っておられるそうですね。

速水 修成地区では子育てサロンを幼稚園の一室を借りて行っています。主任児童委員さんが主になって運営しており、多いときですとお子さんとペアで30組ほどいらっしゃいます。ゆくゆくは高齢者のサロンもそこにくっつけて高齢者と子どもたちの多世代サロンにしたいと考えていますが、今のところ子育てサロンを年間80回くらい、週に2日くらいの割合で開催しています。定期的に必ず来られるお子さんとお母さんもいますし、来ないと主任児童委員さんが心配になってご自宅へ電話をしたり声を掛けたりしています。他の地区から参加される方もいらっしゃいます。

無報酬のボランティア 手当を誤解され残念

市長 民生委員の皆さんは特別職の地方公務員ですが、地域福祉のために無報酬のボランティアとしてご活動いただいています。そのような民生委員さんの活動を広く知っていただくために今年の広報津5月16日号から、隔月の16日号に民生委員児童委員さんの活動をご紹介するシリーズをスタートしました。これは委員間の情報共有に役立てていただくためでもありますが、やはり多くの市民の皆さんに民生委員児童委員さんのことをご理解いただくことが地域の力につながっていくのではないかと思います。

速水 活動はボランティアですし、民生委員法でも無報酬となっていますが、活動費として年間5万円から6万円、月にすると4千円から5千円の活動費をいただいています。民生委員は研修会やいろんな行事に参加しますので、皆さんその実費に充てています。民生委員はたくさん手当があると誤解されている方もいるのですが、正直申し上げてこれだけの活動費はいただいています。しかし、民生委員は年に1度、自分たちが単位民児協に会費を納めるという制度があります。各単位民児協で金額は違うのですが2千円から1万円納めるところもあり、自分たちで会費を払いながら活動をしている部分もあるわけです。津市の民生委員児童委員連合会の場合は、各単位民児協の612人から3千円ずついただいて、運営費に充てています。いまだに、民生委員さんってたくさんもらっていますよねと言われることが一番残念で、時々そのようなことを言われてがっかりされる民生委員さんがいることも分かっていただきたいです。

市長 社会に貢献しようというお気持ちから民生委員をお受けいただいていることであろうかと思います。そんな歴史を重ねてきた民生委員制度が100周年ということでいろいろな行事が行われますが、津の場合は津まつりで広く民生委員児童委員のことをPRすることもお考えのようですね。

速水 全国では7月8日から10日までに東京で大会があり1万人が集まりました。三重県では9月12日に県総合文化センターで100周年記念行事を行います。津市も何かしたいということで21人の会長さんたちにお尋ねしたところ、外部へ向けてアピールしたいという声が上がりました。それではせっかくですから10月の津まつりで何かしましょうということになった次第です。民生委員は踊りもできませんので、社会福祉協議会のテントの横で風船アートをしたり、民生委員の活動を掲示したり、パレードに参加したりしようと考えています。津まつりで踊りも何もしないグループは、あまりないのではないでしょうか。ぞろぞろと歩くだけになるかもしれませんが、外へ向けて民生委員制度100周年をアピールしようと計画しています。

市長 速水さんがどんな衣裳で登場されるのか楽しみですね。

速水 いえいえ。私は裏で静かにしています。

市長 ここまでお話を伺ってまいりましたが、民生委員児童委員さんが地域福祉に大きな役割を果たしていることは、まぎれもない事実でございます。津市社会福祉協議会、地区の社会福祉協議会の皆さんと力を合わせて地域の一つ一つのことをしてくださっていると思います。自治会との連携に加え、地域における高齢者や子どもたちの見守りをしていただいておりますが、これからの活動や在り方、こんな風にしていきたいという思いをお話しいただけますか。

速水 津市の民生委員というだけでなく、国の方でも地域共生社会の実現というテーマで我が事・丸ごと地域共生社会実現本部が今年の2月に創設されたと伺っています。地域で民生委員だけでなく自治会さん、老人会さん、近隣の方々も含めた共生社会を作っていかないと、少子高齢化が進み地域の縁が薄くなってきている中では安心して暮らせる社会ができていかないと思います。他の団体とも協力しながら、地域の安心安全な生活ができていくような形を作っていきたいと思っています。

市長 地域のつながりをしっかり作っていこうということですね。民生委員さんの活動はお一人お一人の活動ですが、その力が積み重なって地域の力になるのだと思います。100年続いてきた制度がますます発展し、民生委員さん児童委員さんのさらなるご活躍を心から期待しております。

三重県民生委員児童委員協議会会長 はやみ まさみ さん

1947年(昭和22年)12月28日津市生まれ。1972年(昭和47年)日本土建入社。1996年(平成8年)から2007年(平成19年)衆議院議員秘書。2006年(平成18年)5月から民生委員・児童委員。2010年(平成22年)12月から修成地区民生委員児童委員協議会会長。2013年(平成25年)12月から津市民生委員児童委員連合会会長。2016年(平成28年)12月から三重県民生委員児童委員協議会会長。


 

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