「広報津」第300号(音声読み上げ)シリーズ人権 第78回、津市(このまち)で輝く

登録日:2018年6月16日

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シリーズ人権 第78回

子どものため?私のため?

私の子どもは人付き合いが苦手で、家の周りに友だちはできず、誘いに来てくれる友だちもいません。小学校へ登校する時も一人です。学校でも、休み時間に校庭に出て友だちと遊ぶことも少ないようで、帰りの時間には友だちと誘い合うこともなく一人で帰ってきます。地域のミニバスケットボールチームの練習に誘ってもらったこともありましたが、体を動かすのが好きではなく、周りの雰囲気にもなじめず辞めてしまいました。また、勉強も、毎日根気よく机の前に座っている姿を見掛けることはほとんどありません。

そんな子どもに対して親である私が望むことは、いつも大勢の友だちに囲まれていてほしい。家では友だちとの出来事をたくさん聞かせてほしい。スポーツは上手でなくても、付き合い程度にできればいいので大きくなっても続けてほしい。勉強は得意でなくても、勉強することは好きになってほしい。いや、嫌いでなければいい。そんなことをいつも望んでいました。そして、そのような姿にならない子どもに対して、自分の考えを言い聞かせようとしていました。

でも、私が望んでいることが子どもにとって正しいことと言い切れるのだろうかと、心の中で葛藤している私もいました。親である私が小学生の頃を振り返ると、似たような感じだったことを思い出します。引っ込み思案で、物おじしがちで、友だちといえる人は限られた数しかいなくて、趣味にもスポーツにもほとんど興味がわきませんでしたし、勉強に至っては。そんな自分を後悔してはいませんが、自分ができなかったことをできるようになってほしいと望んではいけないとも思いません。ただ、毎日どんな思いでいるのか、どうしたいと思っているのか、私は分かっていなかったし、知ろうとしていなかったことに気が付きました。

そのことに気が付いたとき、まず子どもの思いを知ることが重要で、その上で、どうしていきたいかを一緒に考えていくことが必要ではないかと思うようになりました。しかし、子ども自身も自分がどうしていきたいと思っているのかは、最初から分かっている訳ではないかもしれません。だからこそ、語り合いを積み重ねることが大切だと思います。

子どもの幸せを願うあまり、親は必死になって叱ることがありますが、いつの間にか親の価値観を押しつけてはいませんか。子どものためを思って伝えているつもりでも、実は自分自身のためにそうしているだけではありませんか。子どもは親の保護を受けてはいますが、支配されている訳ではないと思います。小さくてもそれぞれが自分の意志を持っています。

私は、つい忘れがちになるそのことを心に留め、まず自分自身を見つめ直すこと。そして、子どもの思いを聞きながら一緒に考えること。今は、そのことを大切にしながら子どもと向き合っています。

(50代・男性)

津市(このまち)で輝く

ボリューム26 ボランティアグループ まごころ会 さとう かずゆき さん

地域の子どもたちは、地域住民で見守るをモットーに平成18年にまごころ会が発足。一志地域の小中学校の通学路のパトロールや主要交差点での見守り活動を行っている。

質問1 ボランティアを始めたきっかけはなんですか

民生委員をしていた時、地域の人の入院の手伝いなどをする機会があり、ありがとうという言葉に心を打たれた自分がいました。仕事をしていた頃は地域との関わりはあまりなかったのですが、民生委員の経験を通して知り合いが増え、ネットワークが広がり、いつの間にか人と関わることに生きがいを感じるようになりました。息子3人が小学校を卒業したこの土地に恩返しがしたいという思いもあり、8年前からまごころ会の一員として見守り活動を始めました。

質問2 心に残っている出来事はありますか

以前、電車内で高校生の女の子が声を掛けてくれたことがありました。彼女が小学生の時、私が通学路に立っていたんですね。私も成長した彼女に幼い頃の面影を見て、うれしくなりました。こうした活動から縁が生まれ、互いに顔を覚えて声を掛け合ううちに、信頼も深まります。子どもたちの大きな ただいま ありがとう の声に、元気をもらっています。

質問3 今後の抱負を聞かせてください

猛暑の日も雪の日も通学路に立つことは大変ですが、今は生活の一部に組み込まれています。現在メンバー12人、平均年齢は76歳と継続に不安も感じていますが、メンバーを増やし、体力が続く限りがんばって事故や犯罪から子どもたちを守っていきたいです。


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