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折り込み紙3
平成31年2月16日発行
教委人権教育課 電話番号229-3253 ファクス229-3017
私たちの暮らしの中でパソコンの使用が当たり前になり、携帯電話が話すだけの機器でなくなったのは、いつからでしょう。もしかしたら、生まれた時から、という人もいるかもしれません。
インターネットには、掲示板やSNSなど、簡単・自由に情報の収集や発信ができたり、コミュニケーションツールとして利用したり、私たちの暮らしを快適・便利にするさまざまな機能があります。知らない用語も、辞書を引かずにあっという間に意味が分かります。知らない場所も、簡単に地図が出てくるし、行き方も、かかる時間も教えてくれます。新聞やテレビを見なくても、今、何が起きているか、簡単に知ることができます。大きな地震や事件があったと聞いたときに、まず、インターネットで検索する人も少なくないのではないでしょうか。
今回のあけぼのは、インターネットと人権について考えます。
情報化社会が加速する今、気付かないまま差別の助長に加担したり、逆に差別意識や偏見を刷り込まれたりしないために、ネットの世界でどんなことが起こっているのか、どんなことが人権侵害になるのか、ネットで人を傷つけないためにはどんなことに気を付けたらいいのか、ネットで人権侵害されたときにはどうすればいいのか、など、さまざまな視点から考えてみたいと思います。
インターネットの向こう側にいるのも自分と同じ、人なんですよね。
市内で行われた人権講演会でメディア・リテラシーという言葉を知りました。あまり聞き慣れない言葉だったので、後で調べてみたところ情報を読み解く能力ということが分かりました。
現在、私たちの身の回りには、テレビやラジオ、新聞、インターネットなどからの情報があふれています。今後、こうした情報を読み解く能力が、ますます必要とされるのではないでしょうか。その中で、近年、特にインターネットの普及が急速に進み、今では生活に欠かせないという人も少なくありません。
しかし、インターネットで最新のニュースや知りたい情報などを調べる際に、その情報が正しいかどうか自分でよく考えずに、そのままうのみにしてしまうことはないでしょうか。
インターネット上の情報はすべてが正しいとは限りません。また、インターネットの匿名性や情報発信のしやすさを悪用し、部落差別を助長する目的で地名や人名が書き込まれたり、他人を誹謗中傷する差別的な書き込みや差別を助長するような表現が掲載されたりするなどの人権侵害が発生しています。インターネット上であっても、差別や偏見に基づく行為は、人格や尊厳を傷つけるものであり、決して許されるものではありません。
私たち一人一人が、自らの人権感覚を磨きながら、誰もが暮らしやすい、偏見や差別のない社会にしていきましょう。
今回は、あらゆる人権問題の解決に向けた取り組みを行う反差別・人権研究所みえ ヒューリアみえ 事務局長の松村元樹さんに、近年増えているインターネット上での人権侵害、SNSから差別が拡散している現状などについてお話を伺いました。
2016年4月に発生した熊本地震直後、インターネット上で被災者を混乱させたり、関係する人々を深く傷つけたりする投稿がありました。
このことは、ほんの一例で、デマ(いいかげんな噂話や流言)やフェイクニュース(事実ではない、虚偽・デタラメな情報)がSNSを通じて広く拡散され、時には世論を動かしたり社会的な混乱を招いたりする社会問題となっています。
こうしたデマやフェイクニュースは人々を混乱させるだけでなく、そこに偏見や差別意識が付け加えられて、人権侵害につながるケースもあります。
補足
SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービスの略で、携帯電話やスマートフォン、パソコンを 使って、多くの人と交流できるサイトのこと
情報をうのみにしないことと、情報の発信元を確かめることがまず大事です。そして、情報を使いこなす基礎的な能力(事実かどうか確かめることができる力、投稿することがよいか考え判断する力など)を身に付けることが必要なのではないでしょうか。
法務省の発表によると、全国の法務局が被害者の申請を受理したインターネット上の記述や画像掲載などによる人権侵犯事件は、一昨年、2,217件で過去最高となりました。 これまで5年連続で過去最多を更新しており、特に昨年は、SNSによる人権侵害が目立ちました。
法務省 平成29年における人権侵犯事件の状況について(概要)より
身近なところでは、子どもから大人まで楽しんでいるオンラインゲームの中で人権侵害が起こっています。オンラインゲームでは、インターネット上で不特定多数の人と、同じゲームを楽しむことができ、ゲームをしながらチャット(文字で会話)ができます。匿名で対戦しているため、普段使わないような暴言で相手にゲームで負けた悔しさをぶつけたり、知らず知らずのうちに差別的な言葉を使って書き込んだりと、差別の加害者や加担者となることが増えてきています。それによって傷つく人がたくさんいます。
インターネット上の差別は、匿名であることから、悪質で人間のみにくさが出ているものがほとんどです。実生活では言わないだろう、使わないだろうと思われる言葉が飛び交っています。社会の中にある閉塞感により、矛先が少数者や弱者に向けられていることも考えられます。
誰もが安心して暮らせる社会、つながりを大切にできる社会をつくっていくことが大事だと思います。しかしながら、最近では核家族化や地域のつながりの希薄化により、相談できる相手がいない、本音を話せる場所がない、と感じる人も少なくないのではないでしょうか。そのため、同じ趣味趣向や考えの人からの賛同が多く得られ、自らの承認欲求が満たされやすいインターネット上だけが居場所となり、実社会での人とのつながりがさらに希薄になってしまいがちです。自分の身の回りの人とのつながりも大切にしていけるといいですね。
また、多くのサイトは、差別などの投稿を禁止しています。おかしい、だめだ、いやだ、と思ったら、通報(削除依頼)をしましょう。通報も投稿と同じ匿名で、簡単にできます。それは反差別の意思を表すことにもつながります。通報の方法など、分からないときは最寄りの人権相談窓口に相談するといいですね。
誰もが被害に遭う可能性があります。また一度インターネット上に情報が拡散してしまうと完全に消すのは難しいです。人権侵害だと気付いたら一人で悩まず、すぐに周りの誰かに相談しましょう。市や県の人権相談窓口や法務局などに相談するのもいいですね。
インターネットは、情報の収集や発信など学習の分野でも幅広く利用されています。
一方で、インターネットでのメールやSNS、掲示板などを使ったいじめが、子どもたちを傷つけ、場合によっては命を奪ってしまうこともあります。また、インターネット上に氾濫している差別的な情報をうのみにしてしまうといった現状もあります。
今回の、シリーズ学校・園では今、では敬和小学校の取り組みについて紹介します。
インターネットでのやりとりについて考えようをテーマに、子どもたちの中で実際に起こりそうな2つの場面を劇化した教材を使い、自分の経験などを重ねながら、考えたり思ったりしたことを出し合う授業が進められました。
便利な面
一方で
子どもたちを取り巻くネット環境について、使う子どもの自己責任とするのではなく、子どもたちとともに、学校や家庭、地域で私たち大人が自分たちの問題として、ネットモラルについて考えることが必要ではないでしょうか。