「広報津」第363号(音声読み上げ)折り込み紙3、人権だより 第15号

登録日:2021年3月16日

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折り込み紙3

人権だより 第15号

令和3年3月16日発行
人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366

知っていますか。シトラスリボンプロジェクト

シトラスリボンプロジェクトとは、愛媛大学の教授らのグループ、ちょびっと19プラスが、新型コロナウイルス感染者や医療従事者らへの偏見や差別をなくそうと立ち上げたプロジェクトです。

愛媛県特産のかんきつ類をイメージした黄緑色のリボンを、地域、家庭、職場・学校を示す3つの輪に結んだデザインになっています。感染が確認された人や暮らしを支えてくれる医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さんなどが、それぞれの地域で笑顔で、ただいま、おかえり、と言い合えるまちであるようにという願いが込められています。

新型コロナウイルス感染症に関する不当な差別、偏見、いじめは決して許されるものではありません。津市はこのプロジェクトに賛同し、感染した人等が特定や排除されることのないよう差別をなくす取り組みを進めていきます。

コラム、自分の差別心と向き合うということ

自分には差別心はないと思ってきた。10歳から施設で育ち、多くの人の助けを得て何とかやってこられた自らの人生を通し、人種や性別、出身地や障がいの有無などで人を見ることの無意味さ、を理解していたつもりであった。

そんな私の差別心について、気付かせてくれたのは祖母だった。祖母は物心ついた時から統合失調症で入院しており、盆や正月などに時折帰ってくることはあったものの、それ以外は病院で会うのが常だった。幼い頃は、ずっと病院にいる祖母を、かわいそうなばあちゃんと思っていた。年齢を重ねていくうちに、それに加えて、恥ずかしいばあちゃんという感情が膨らんでいった。祖父や祖母の話題になった時には、少し遠くにいるもう一人の祖母のことを話し、入院している祖母のことに自分から触れることはなかった。

それでも成人後は二十数年にわたり、2カ月、3カ月に1回のペースで面会に行っていた。しかし祖母が話すことは、ほとんど聞いていなかった。眉をしかめ早口に語るその時間が終わるのを、ひたすら待っていた。時々、ごはんを食べに行っても、毒を入れられるなどと言うため、笑顔を見た記憶や楽しかった思い出もほとんどなかった。ただ、懸命に世話をしている母が、たまにはおばあちゃんに会いに来たって、と言うので、半ば義理で足を運んでいたにすぎなかった。

2020年に入ると、コロナ感染予防のため、面会や外出が基本的にできなくなり、半年以上祖母に会うことはなかった。9月に入った頃、母から、おばあちゃん、もう長くないみたいと連絡が入り、久しぶりに病院に行った。89歳になったばかりの祖母は、もうほとんど喋れなくなっていた。看護師さんからは、耳は聞こえてるから、たくさん話したってねと言われた。半年前まで、ひっきりなしに喋っていた祖母は、何も言わずゆっくりとこちらに視線を向けてきた。眉をしかめるような表情もなくなっていた。それは同時に、私のことを認識できなくなったことも意味していた。

このような状況になって初めて、祖母と穏やかな気持ちで対面することができた。今までも話す時間や機会は無数にあったが、どうせ妄想やろと決めつけ、まともに向き合おうとしてこなかった。ずっと、恥ずかしいばあちゃん、病気のばあちゃんという見方しかしてこなかった。

それは、自分の中にあった差別心そのものだった。私は一番身近で大切な人を差別してきたという事実が体中を駆け巡り、こんな時が来るまでそれに気付けなかった自分に呆然とした。ベッドの上で穏やかな表情を浮かべる祖母の傍らで、ばあちゃん、ごめんなと耳は聞こえているという言葉を信じて、何度も繰り返した。

数日後、祖母を火葬するとき、やはり最後は感謝を伝えたいと思った。今自分がここにいるのは、紛れもなく祖母がその人生を懸命に生き抜いてくれたおかげである。ばあちゃん、ありがとう。最後の最後に、何も枕詞が付かない、ばあちゃんとして呼び掛けることができた。しかし、生きているうちにその言葉や思いを届けたかった、という大きな後悔も残った。

差別や偏見は、自分の一番身近な人とのつながりさえも奪ってしまう。私はもうこのような後悔をしたくない。だからこそ、これからも自分や世の中にある差別・偏見に向き合っていきたいと思う。

誰もが安心して暮らせる社会へ。令和元年度 人権問題に関する三重県民意識調査結果報告書より

三重県は、県民の人権問題に関する意識を調査することで、前回調査(平成24年度)以降の意識の変化と新たな人権課題に対する意識を把握し、今後の人権行政推進のための基礎資料を得ることを目的に、令和元年9月に県内居住の20歳以上の男女3,000人を対象として、人権問題に関する三重県民意識調査を実施しました。今回は、その調査結果報告書の一部を抜粋して紹介します。

人権や差別に関する考え方について、そう思う、どちらかといえばそう思う、と回答した人の割合は、人権は、侵すことのできない永久の権利であるかという問いに対しては88.7パーセント、差別は、人間として最も恥ずべき行為の一つであるかという問いに対しては88.8パーセント、差別される人の言葉をきちんと聞く必要があるかという問いに対しては86.6パーセントと、いずれも8割を超えました。この結果から、人権は侵すことのできない永久の権利であり、差別は人間として最も恥ずべき行為であると考えている県民が多いことが分かりました。

しかし、結婚(縁談)相手の調査について、調べるのは当然だ、感じはよくないが必要だと回答した人の割合は、相手の家族の病歴や障がいの有無が55.7パーセント、相手の家族の職業や学歴が45.9パーセント、相手の家族の収入・資産が37.6パーセント、相手や家族の国籍が56.0パーセント、同和地区の人であるかどうかが43.9パーセントとなりました。

そこで、差別は人間として最も恥ずべき行為であると考えている人が多いにも関わらず、身元調査を肯定している人がいるという状況について、少し考えてみたいと思います。

身元調査とは、人生の大切な門出となる結婚や就職に際し、本籍、出生、家族構成や家族の仕事、国籍、思想、信条などの情報を、自らまたは調査会社などに依頼して、本人の知らないところで、戸籍や住民票を取得したり、知人や近隣の人に聞くなどして調べることです。このような身元調査は、プライバシーの侵害や結婚差別、就職差別などの人権侵害につながる恐れがあります。本人の人柄や能力ではなく、その人の努力ではどうすることもできないことで人生が左右されるとしたら、あなたはどう思いますか。

差別は、差別を受ける側が考えるべき問題ではありません。差別をする側の問題なのです。誰もが安心して暮らせる社会となるよう私たち一人一人が差別や人権侵害につながる身元調査をなくしていくことが大切です。

こうした調査結果を受けて、津市においても、人権問題に関する市民意識調査結果と重ねながら、市民の皆さんが人権問題について関心を持ち、人権に対する正しい理解と認識を深めていただけるようさらなる取り組みを進めていきます。

人権相談窓口

人を差別し、人の心を傷つける落書きを見たら、津市人権課へ通報・連絡してください。

  • 津市人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366
  • みんなの人権110番 電話番号0570-003-110
  • 三重県人権センター相談電話 電話番号233-5500
  • インターネット人権相談受付窓口は、ホームページ 法務省 人権相談 で検索してください。

市民人権講座 イン 香良洲を開催。新型コロナウイルス感染症に伴い繰り返される偏見や差別。このサイクルを断ち切るために。

昨年12月4日に、サンデルタ香良洲多目的ホールで市民人権講座を開催し、反差別・人権研究所みえ調査・研究員の原田朋記さんに講演していただきました。

原田さんは、人は一人一人違うのに、自分の価値観や判断基準だけに基づいて、デマや不確かな情報、事実の一部だけで判断し、差別や排除をしていないか。コロナ禍でウイルスを遠ざけるべきなのに、心ない誹謗中傷が人を遠ざける行為につながっている。ワクチンや特効薬が開発されれば、感染に対する不安は少なくなるかもしれない。しかし、熱があっても言い出せない、喘息で咳をするのもはばかられるといった現実があるのは、感染者やそれに関わる人たちを避けたり排除したりする行為が、社会の中で繰り返されているからだ。と話されました。

東日本大震災では、原発事故の被害者や避難した人が差別や排除されるという福島差別が生み出された。あれから9年が経過し、最近はそのような声をほとんど聞かなくなった。未曽有の災害によって表出した差別意識や偏見が、時間と共に人々の意識の中に潜り込み、現在、未知のウイルスの出現によって再び差別や偏見が表出してきていることを考えれば、同じことを繰り返しているといえるのではないか。と続けられました。

最後は、皆さんが暮らす地域が新型コロナウイルスに感染したら、周囲の目が気になってここでは暮らせないなどと思わなくてもいい、誰もが安心して暮らすことができる地域であってほしい。そのために、私たち一人一人が不確かな情報や偏見に惑わされず正しく判断できる力を養うことが大切だ。と呼び掛けられました。

参加者からは、私たち一人一人が差別の現実を自分事として捉えること、そして、人権尊重の輪を広げていくことの大切さを感じた。知らず知らずのうちに新型コロナに関する偏見や差別につながる意識を持ってしまっていることに気付くことができたので、これからは自分自身の意識を問い直して生活していこうと思った。との意見がありました。

津市では、毎年、市内各所で市民人権講座を開催しています。私たち一人一人が、人権問題を自分の問題として受け止め、人権感覚を磨きながら、誰もが生き生きと暮らせる社会を一緒にめざしていきましょう。

津市人権講演会を開催。外国人に対する決め付けや先入観を捨てて。

昨年12月5日に、サンヒルズ安濃ハーモニーホールで山形弁研究家のダニエル・カールさんを招いて津市人権講演会を開催し、100人の来場者の皆さんが、山形弁でのユーモア溢れる話を熱心に聴講しました。

カールさんが、高校時代に奈良県五條市の学校に留学していた頃、市内で唯一の外国人であり、周りの人から物珍しい目で見られていたこと、佐渡島でぶんや人形遣いの弟子入りをしていた頃は、パトカーに乗せられて警察署で根掘り葉掘り事情を聞かれたこと、そして、大学卒業後に当時、山形県初の英語指導主事として学校で英語を教えていた時のことなど、自身の経験を共有した上で、外国人に対する先入観を捨てて、自分の言葉でいいので話し掛けてもらえればいい。と話されました。

講演に参加した人からは、外国の人が日本の文化をどのように見ているかを分かりやすく伝えてくれたのが良かった。自分たちが当たり前と思っていたことが、外国人から見ると疑問を感じることがあることが分かり、常に相手に寄り添いながら接していかなければならないと感じた。外国人をひとくくりにして考えてしまうような偏見や固定観念の存在に気付かされ、ものの考え方を見直すきっかけとなった。などの感想がありました。

津市は県内でも外国人が多く住んでいるまちです。私たち一人一人が文化・習慣の違いを理解しながら、多文化共生社会の実現に向けて取り組んでいきましょう。

人権標語・人権ポスター入選者一覧

人権標語

  • あなたはね あなたの色の ままでいい。川口小学校6年の、山下ゆいさん
  • 変わろうよ 見て見ぬふりする 自分から。美杉中学校1年の、今井利鳳さん
  • 見過ごすな 笑顔の下の SOS。朝陽中学校3年の、佐々木陽加さん

人権ポスター

最優秀賞
  • 白山中学校3年の、波尻真緒さん
優秀賞 (順不同)
  • 高野尾小学校6年の、赤塚鈴さん
  • 榊原小学校5年の、萩百椛さん
  • 黒田小学校6年の、行方万里菜さん
  • 芸濃小学校6年の、駒田埜々香さん
  • みさとの丘学園5年の、山際暖人さん
  • 明合小学校6年の、紀平華穂さん
  • 香良洲小学校5年の、今井琳子さん
  • 一志西小学校5年の、奥田愛心さん
  • 家城小学校6年の、田原羽美さん
  • 美杉小学校6年の、木村咲也さん
  • 南が丘中学校2年の、森尾太俊さん
  • 久居中学校3年の、水谷天子さん
  • 朝陽中学校1年の、鈴木ひよりさん
  • 芸濃中学校1年の、岩佐奏心さん
  • みさとの丘学園7年の、芝原杏晄さん
  • 東観中学校2年の、大井美空さん
  • 香海中学校3年の、佐藤優羽さん
  • 一志中学校3年の、東優里さん
  • 美杉中学校3年の、三浦桃子さん

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