「広報津」第447号(音声読み上げ)歴史散歩 第217回 新たに国登録有形文化財へ、津市(このまち)で輝く

登録日:2024年9月16日

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歴史散歩 第217回 新たに国登録有形文化財へ  旧国鉄めいしょう線 伊勢おきつ駅給水塔

国の文化審議会は、令和6年7月19日に開催された文化財分科会での審議を経て、新たに国の登録文化財とすべき建造物について、文部科学大臣に答申しました。この中には、JRめいしょう線の終着駅である伊勢おきつ駅の隣に残る給水塔も含まれています。今回の歴史散歩は、新たに国登録有形文化財となる給水塔の歴史を紹介します。

現在のJRめいしょう線は、松阪駅と伊勢おきつ駅を結ぶ路線となっていますが、当初は奈良県の桜井市と松阪市を結ぶ「おうしょう線」として計画されました。途中、名張市と松阪市を結ぶ路線として計画が変更されたことで「めいしょう線」と呼ばれることとなりました。昭和4(1929)年に松阪駅から権現前駅までの約7キロメートルが開業し、翌年には権現前駅から井関駅間が、さらに昭和6(1931)年には井関駅から家城駅までが延伸し、段階的に整備されていきました。そして、昭和10(1935)年に、家城駅から伊勢おきつ駅間の約18キロメートルが開業し、現在のめいしょう線の路線が完成しました。当時、運行に使用されていた蒸気機関車への給水のため設けられた設備が今回、国登録有形文化財となる伊勢おきつ駅の給水塔です。

給水塔の高さは約9.5メートルで、鉄筋コンクリート製の4本の柱の上に、金属製の貯水タンクが設置されています。タンクの直径は3.1メートル、高さ2メートルで、上部には八角形の屋根が固定されています。貯水タンクには水位計も取り付けられており、タンクの中の水位が分かるようになっています。

開業当時の伊勢おきつ駅は今よりも広く、この給水塔の隣にも線路が敷かれており、給水塔の横に蒸気機関車を止め、タンクから伸びたパイプを使用して蒸気機関車に給水していました。

かつて全国各地の駅に設置されていた給水塔は、蒸気機関車に代わりディーゼル機関車や電車などが導入されたことに伴って、その役割を終え撤去されていきましたが、伊勢おきつ駅給水塔は、昭和40(1965)年にディーゼル機関車が導入された後もそのままの姿で残されました。

現在、金属製の貯水タンクを備えた鉄道用の給水塔は、全国でも数例しか残っておらず、国登録有形文化財に登録されているものは鳥取県のわかさ鉄道わかさ駅の給水塔だけです。伊勢おきつ駅前の給水塔も、地域のランドマークであるとともに、日本の鉄道史上、価値が高く重要な工作物と評価されています。

秋の行楽シーズン、めいしょう線に乗って伊勢おきつ駅を訪ねてみてはいかがでしょうか。

津市(このまち)で輝く

ボリューム93 伝統を重んじるも固執せず 常に熱く、新しくあれ
津まつり実行委員会 会長 かわきた こうじ 65歳

プロフィール

1959年6月生まれ。養正小学校、西橋内中学校を経て高校卒業後、上京。Uターン以降約40年、津民芸保存会会長などを歴任し現在に至る。趣味はウォーキングと読書。最近のお気に入りは「こうねつずいどう」(吉村昭)。お酒はきりっと辛口派。

  • 祭りはとことん!酒はほどほど!?(本人談)
  • 座右の銘は「不易流行」

魅せられた者が魅せる祭典「津まつり」

にぎやかだが怖いというのが、幼少期の津まつりの記憶。高校卒業後に上京し故郷から遠く離れた大都会で津まつりとは無縁の生活を送っていた。

ところが、昭和60年4月、稼業を継ぐため津市に戻った時、久しぶりに再会した同級生達が、地元の郷土芸能を次世代へ伝承し、祭による町おこしをしようと奔走する姿を見たとき胸が踊った。思いは伝染する。彼らの姿に魅せられたかわきたさんは仲間入りを果たす。以降約40年間、津まつりは無くてはならない「年中行事」になっている。

津まつり出演団体の演舞や演奏に憧れ、「自分もやってみたい」と出演を希望する子ども達も多い。観客を楽しませたい、津を盛り上げたいと躍動する者たちの姿が人を魅了する。そして、魅せられた人が新たに人を魅了していく。こうして津まつりは途絶えることなく390年間受け継がれてきた。

「先人が守り続けてきた祭のしきたりや礼節を次世代に引き継ぐ一方で、津まつりとはこういうものだという固定概念に囚われないようにしたい」とかわきたさん。

「時代や社会の変化に合わせ新しい要素を取り入れられる、全世代を魅了し続ける祭典でありたい」と語る熱い思いが、今年も10月に催される津まつりで多くの人を魅了する。


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