ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋への移動など、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、身体に大きな負荷がかかり、体調に異常をきたす現象をいいます。こうした血圧の変動は、心臓や血管に負担がかかるため、失神や心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす可能性があります。
高齢者は、若い人と比較して血管が固くなっており、血圧を正常に保つ機能も衰えてきている場合があります。他にも皮膚感覚が鈍くなっているため温度差を感じにくかったり、体温を維持する機能が低下している場合もあるため注意が必要です。
また、血圧が不安定な人、風呂場でめまいや立ちくらみを起こしたことのある人も注意が必要です。
体調の変化に気づくためにも日ごろから自分の血圧の変化について知っておくことが大切です。高血圧ではない健康な人でも1週間に1回は血圧測定し、最高血圧が140mmHgを超えているようなら、かかりつけ医に相談しましょう。
また高血圧の人は、冬場の温度管理に気を付けるとともに、塩分を控え、野菜や果物を取り入れる食生活の改善、運動習慣をつけるなど医師と相談しながら、高血圧の改善に取り組みましょう。
以下、政府広報オンライン「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意! | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)」を加工して作成
気温が下がる11月から4月にかけての寒い季節にヒートショックを発症する人が多くなります。この時期、入浴中に気を失い、浴槽内でおぼれる事故が増えるので注意が必要です。
入浴時の事故が多くなる原因のひとつは、急な温度差による血圧の急激な変化です。暖かい部屋から移動し、冷えた脱衣所で衣服を脱ぎ、さらに浴室内も寒いと、血管が縮まり一気に血圧が上昇します。その後、浴槽に入り体が温まってくると血管が広がり血圧が下がります。この急激な血圧の変化により、一時的に脳内に血液が回らない状態となり、一過性の意識障害を起こし、浴室内でおぼれて亡くなることがあります。
入浴中におぼれて亡くなる人は、交通事故で亡くなる人よりも多くなっています。
お湯を沸かすときに暖房器具などを使い、脱衣所や浴室内を暖め寒暖差が少なくなるように工夫しておきましょう。浴室に暖房設備がない場合は、「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯する」、「浴槽の湯が沸いたところで十分にかき混ぜて、ふたを外しておく」など蒸気を立てることで浴室内を暖めることもできます。
熱いお湯や長湯が好きな人は注意しましょう。温度計やタイマーなどを活用して、湯温、部屋の温度、入浴時間などを「見える化」することもおすすめです。
また、入浴する時には、かけ湯をしましょう。手や足など心臓から遠い場所にかけ湯をして身体を慣らすと、心臓に負担がかからず血圧の急激な変動を防げます。
浴槽から出るときに急に立ち上がると、血圧が急激に下がり危険です。手すりや浴槽のへりなどを使ってゆっくり立ち上がるようにしましょう。
食後は、食事の消化のために胃や大腸に血液が集まり、血圧がやや低くなっています。特に高齢者は、食後すぐに入浴するなど血圧を上げる行動をするとヒートショックを引き起こしやすいため注意が必要です。
飲酒によっても血管が拡張し、一時的に血圧が下がります。飲酒後はアルコールが抜けるまでは入浴しないようにしましょう。また、体調が悪い時や、精神安定剤、睡眠薬などの服用後も入浴は避けましょう。
異常があったときにすぐに気づけるよう、同居する家族がいる時間帯での入浴を心がけ、お互いに声をかけあいましょう。
家族は高齢者が入浴しているとき、「時間が長い」、「全く音がしない」、「突然大きな音がした」など何か異変を感じたら、ためらわずに声をかけましょう。
このほか、入浴による脱水症予防のため、入浴前後に水分も補給しましょう。
ヒートショック予報は、気象予測情報にもとづく家の中での「ヒートショックの危険性の目安」を知らせる予報です。天気予報メディア[tenki.jp](外部リンク)で配信されていますので、こちらをご覧ください。
政府広報オンライン「交通事故死の約2倍?!冬の入浴時の事故に要注意」(外部リンク)
消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴時の事故に御注意ください!自宅浴槽内での不慮の溺水事故が増えています」(外部リンク)