登録日:2021年9月29日
~東京事務所長です~
東京都内にはいくつか「富士見坂」という坂があります。
江戸時代には、たぶんそれぞれの坂から富士山を眺めることができたのだと思うのですが、今ではほぼ見ることができません。
私のアパートの近くにも、「富士見坂」があります。
先日、散歩をしているときに近くを通ったので写真を撮っていたのですが、案内板を改めて読むと、最近まで富士山を見ることができていたそうです。
「本当かな?」と思っていると、地元の方とおぼしき帽子をかぶったご高齢の男性が気さくに話しかけてこられました。
「前はきれいに見えていたんだけどね。天気のいい日に、あのビルの間から山頂に雪が積もった青い富士山が」
男性が指さした先にはビルが2棟と、その先にもビルが。
その男性によると、たまにビルの影に、ほんの少しだけ今も富士山の稜線が見えるそうです。
「もうちょっと考えてくれるといいんだけどね」
そう言って坂を下っていく男性に、お礼を言うと振り向かずに手を振ってくれました。江戸っ子だ。
再度、坂の上から富士山方向を眺めると、富士山は見えませんが、見えていたことがわかるような風景がそこにはありました。