登録日:2022年5月10日
~東京事務所長です~
連休中に映画を観たという方も多いのではないでしょうか。
今や映画館はいわゆるシネコンが多数ですが、昔は町に映画館がいくつもありました。
津市にもいくつか映画館があり、若かりし頃の小津安二郎監督が通われたというところもあります。(小津安二郎監督のお祖母さまが津市在住だったので。詳しくは令和3年11月1日の日記をご覧ください)
時の流れとともに、町の映画館は姿を消しましたが、まだその建物が残っているところがあります。
津観音の近くの「津大門シネマ」(津東宝劇場)跡もその一つです。東宝系の映画館が閉館した後、ミニシアター系の映画館として活躍していました。
連休に帰省した時、久しぶりに大門を歩き、大門シネマ跡を訪ねると、まだちゃんと建っていました。
今でも時々、地元の映画関係や音楽関係のイベントで利用されているようです。
「ここで最後に観たのは『メゾン・ド・ヒミコ』だったかな」などと思いながら写真を撮っていると、この夏上演されるお芝居のポスターが貼ってあることに気づき、近づいてみると、残念ながら会場はここではなく津駅の北にある県総合文化センターでした。
「なんや、県文か」
と突然声がして振り向くと、70代後半から80代と思しきご婦人が立っていました。
「ここでやってくれればいいですのにね」
と言うとご婦人は、「県文やと自転車で行かなあかんで雨やったら行けんしなぁ。昔は観たい芝居やコンサートには名古屋の御園座なんかまで行ったけど、最近は近鉄も高こうなったし」と残念そう。
しばらく、ご婦人と大門シネマの話や、エンターテインメントの話で盛り上がりました。
「さっき歯医者行って、今、歯がないんやけど、マスクの時代でよかったわ。時間取らせてもうてありがとうな」と笑顔で去って行かれるご婦人に私もお礼を言って見送りました。
なんだか、映画館跡が引き合わせた、ミニシアター系の映画の一コマのような時間だったな、とちょっとうれしくなりました。
「大門シネマ」、私が津に戻るまでに復活しないかな。