登録日:2022年8月10日
~東京事務所長です~
「王子の狐」という落語をご存知ですか?
狐が娘に化けるところをたまたま見かけた男が、逆に化かしてやろうと「お玉ちゃん、久しぶりじゃねえか」と声をかけ、近くの料亭・扇屋にあがり、お酒をたらふく飲ませて酔わせ、自分はお土産の卵焼きまで買って、「勘定は上の女が払うから」と姿を消した。
目が覚めた狐はびっくりして尻尾を出し、店から追い払われる。男は、狐を化かしてやったと吹聴していたところ、「狐は執念深く、呪われる」と聞き、狐の巣穴へ土産を持って謝罪しに行くと、子ぎつねが出てきて土産を預かった。子ぎつねが「母ちゃん、人間がぼたもちを持って謝りに来たよ」と言うと、「食べたらだめだよ、馬のフンかもしれない」と言ったというお話。
先日のお休みの日に、ゆかりの地、王子稲荷神社へ行ってきました。
お狐様もマスク着用でお出迎え。狐が住んでいたという巣穴のところには小さな祠と油揚げの供えが。
その後、狐をだました舞台となった料亭・扇屋跡へ。実は扇屋さん、料亭としては既にないのですが、卵焼き専門店としてビルの一角にお店を出されています。私もそぼろと三つ葉の入った「親子焼き」を買って帰りました。江戸時代の料理番付(ミシュランみたいなものです)の常連だっただけあって、甘くてとてもおいしかったです。
また、扇屋さんの裏には石神井川の旧水路が「音無親水公園」として整備されていて当時の様子がうかがえます。
東京にもこんな風に、お話の面影がそのまま残っているところがあるのですね。
まだまだ奥が深いです。東京。