水道水には、いろいろな物質が微量ながら含まれ、その成分の量とバランスにより、味が微妙に変わります。厚生省(現厚生労働省)が昭和60年に設置した「おいしい水研究会」では、全国調査結果に基づきながら「おいしい水の要件」を数値化しています。
項目 | おいしい水の要件 | 適応 |
---|---|---|
蒸発残留物 (mg/リットル) |
30~200 | 主にミネラルの含有量を示し、量が多いと苦み、渋みが増し、適度に含まれると、こくのあるまろやかな味になります。 |
硬度(mg/リットル) | 10~100 | ミネラルの中でも特に量の多いカルシウムとマグネシウムの含有量の合計を示します。硬度の低い水は癖がなく、高いと好き嫌いが出ます。カルシウムよりマグネシウムが多く含まれていると苦みが増します。 |
遊離炭酸 (mg/リットル) |
3~30 | 溶け込んでいる二酸化炭素(炭酸分)の量を示します。水にさわやかな味を与えますが、度を超すと刺激が強くなります。 |
有機物等 (mg/リットル) |
3以下 | 有機物の量を示し、多いと渋みが付きます。 |
臭気強度 | 3以下 | カビ臭などさまざまな臭いがつくと不快な味がします。 |
残留塩素 (mg/リットル) |
0.4以下 | 水道水のカルキ臭の原因になる塩素の含有量を示すもので、蛇口での濃度はこれより低くなります。 |
水温(℃) | 20以下 | 水温が上がると、あまりおいしくないと感じます。 |
平成17年8月に開催しました夏休み親子水道教室において、水道水や市販されているミネラルウォーター、水道水の湯冷しを冷蔵庫で冷やしておいしさの点から飲み比べてみたところ、水道水の湯冷ましの水については、ミネラルウオーターと同等に高い評価になりました。
水道水は、法律により塩素消毒しなくてはならないことになっています。飲み比べの結果からは、やはり残留塩素を含む水については、きびしい結果となりました。しかし、上のように一度沸かして、残留塩素を飛ばしてしまい適度に冷蔵庫で冷やすと、おいしく飲んでいただけます。
ミネラルウォーター類とは水のみを原料とする清涼飲料水で、必ずしもミネラル分が多い水とは限りません。容器入りの飲用水は農林水産省が平成2年に「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」を定め、原水・処理方法により次のとおり分類しています。
品名 |
原水 |
処理方法 |
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ナチュラルウォーター | 特定水源より採水された地下水 | 沈殿、ろ過、加熱殺菌に限る |
ナチュラルミネラルウォーター | ナチュラルウォーターのうち、ミネラル分が溶解した地下水 | |
ミネラルウォーター | ナチュラルミネラルウォーターの原水と同じ | 沈殿、ろ過、加熱殺菌以外にミネラル分の調製、複数の原水の混合、曝気、オゾン殺菌、紫外線殺菌等を行ったもの |
ボトルドウォーター | 飲用適の水(純水、蒸留水、河川の表流水、水道水) | 限定なし |
水には、硬水と軟水の区別があって、我が国の水道水のほとんどが軟水であるとされ、軟水は、次表のとおり製氷から炊飯、煮物までより多くの用途に適合している水と言えます。特に、製氷に低硬度の水を使うと、カリン!といった透明感のある固い氷ができます。
区分 |
一般的な基準 |
用途(例) |
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軟水 | 0~100mg/リットル | 製氷、和風だし、日本茶、コーヒー、炊飯、煮物 |
中程度の軟水 | 100~300mg/リットル | 鍋物 |
硬水 | 300mg/リットル~ | ダイエット・ミネラル補給 |
水道水は、病原菌に汚染されないように水道法により蛇口で0.1mg/リットル以上の遊離残留塩素があるよう塩素消毒を行うことが義務付けられています。
この遊離残留塩素は、不安定な物質で、時間の経過とともに消失し、さらに水温が高いと早く消失する性質があります。そこで夏期には若干高めに注入していることから、カルキ臭がすることもありますが、これが安全の証ともなります。
このように水の味を落とす原因にもなる遊離残留塩素ですが、殺菌効果がありますので、例えば、最近、問題になっている冷蔵庫の自動製氷器で発生するカビを防止するためにも、水道水の利用をお勧めします。