施政方針(平成30年3月/平成30年第1回津市議会定例会)

登録日:2019年2月21日

 平成30年第1回市議会定例会の開催に当たり、平成30年度の市政運営に臨む私の方針を申し述べ、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

  「平成の20年代という一つの時代が終わりを告げ、平成30年代という新しい年代が幕を開けた。」
 平成という時代がこれからも続くのであれば、そういったことを申し上げたかと思います。
 しかし、来年5月に「平成」から新しい元号に変わります。国全体としては、「新しい元号による新しい時代が幕を開ける」。そういった意識が高まっていくものと思います。世において、この平成30年は、平成という時代と次に訪れる新しい時代をつなぐ年、平成を締めくくる年になるということです。
 こういった時代の流れのなか、津市は、まさに平成20年代を計画期間とする合併後最初の総合計画を進め、新市まちづくり計画に掲げた将来ビジョンの具現化に向けた取組を積み重ねてまいりました。その総合計画も平成20年代という時代とほぼ時を同じくして、この3月で終了し、来年度からは新しい総合計画がスタートします。
 津市にとっての平成30年。それは、新しい元号の時代に先駆け、まちづくりの新たな段階の第一歩を踏み出す年であるということです。そして、その第一歩は、新しい元号の時代を先取りした一歩でなければなりません。つまり世の中の動きを的確に捉え、一つ先を行く行動を常に意識していかなければならないということです。

 時代の一歩先行く市政とは、どうあるべきか。
 これまでの12年間、津市は合併した一つの都市として、持続し発展していくための基盤を築くまちづくりを進めてまいりました。昨秋の産業・スポーツセンターのオープンにより、4大プロジェクトが全て完了し、合併時に約束されていたことは、ほぼ形になりました。
 「合併した当時に思い描かれた新津市のあるべき姿を目指したまちづくりが、一つの区切りを迎えた。」
 産業・スポーツセンターのオープンは、まさにそのことを象徴し、津市の平成20年代の最後を飾りました。
 合併した都市としてあるべき姿を整え、新たな市政を展開する時期を迎えた今、津市の次なる市政のテーマ。それは、『「まちづくり」から「暮らしづくり」へ』です。
 市民の日々の生活や心の豊かさを高める施策に重点を置く市政を力強く展開していくということです。これまでに経験したことが無い少子高齢化を伴う人口減少が急速に進むなか、これからの時代は、拡張するばかりの時代ではなく、育み築き上げてきたものをさらに良くし、市民が心から住みやすさを感じるまちにしていかなければならない時代です。これは、決して将来を縮小基調と見るものではありません。これまで進めてきたまちづくりの施策をやめるというものでもありません。津市に住み続けたい、津市に住んでみたいと多くの人に思っていただける都市となるために、津市の新しい時代を切り拓いていくということです。次期津市総合計画に将来像として掲げた「笑顔があふれ幸せに暮らせる県都 津市」の実現です。

 津市の新しい時代を切り拓いていくための土台は、これまでの12年間で丁寧に築き上げ、3つの層が積み重なった強固なものとなりました。
 第1の層は、合併時に約束されていたことを一つ一つ実現してきたことです。新斎場「いつくしみの杜」、新最終処分場・リサイクルセンターが供用を開始し、昨秋オープンした産業・スポーツセンターは、開業から僅か100日目で来館者10万人を達成しました。道の駅津かわげは、国が事業化を断念せざるを得ないという状況にまで至っていたぎりぎりのところを回避し整備したものです。今では地域に愛され、好評を得ています。久居駅周辺地区の整備も国からの財源を確保しながら、事業が着実に進んでいます。津市の新しい時代への土台の基礎として、新市まちづくり計画に描かれた将来ビジョンの具現化に向けた取組を形にしてきました。
 第2の層は、状況の変化に応じてあるべき姿を追求してきたことです。平成21年10月の台風第18号で被災したJR名松線は、生活に欠かせない交通手段を何としても守ろうという地域の熱い思いが全市域に広がり、全線復旧を成し遂げました。東日本大震災による市民意識の変化に即座に対応し、津波避難ビル・津波避難協力ビルの指定制度を創設しました。命に関わるものとして早急な対策が望まれていた動かない救急車という課題に対しては、医師会等の協力を得て、二次救急における土曜日の午後・夕方の時間帯の輪番体制や腹部救急のバックアップ体制を構築するとともに、民間医療機関が休診時であっても、救急車を呼ぶほどではない比較的軽症の患者が受診できるよう応急クリニックを開設しました。安心して暮らせる地域づくりが求められてきたなか、無医地区を生み出さないために美杉町奥津へ家庭医療クリニックを開設し、地域医療体制も確保しました。ビジネスサポートセンターも、地方創生の取組を深化させ、元気な地域経済を築くためには、創業や企業等の新分野への進出などをワンストップで支援する体制が必要であるとして整備したものです。教育においては、学校教育法の一部改正と美里地域の小中学校の再編というタイミングを最大限に活かすべく、県内初の義務教育学校となる「みさとの丘学園」を開校しました。合併後の津市が「やるぞ」と決めて取り組み、実現に至ったものです。
 第3の層は、新しい市政展開に先駆けて既に一歩踏み出した事業を展開していることです。中学校の普通教室にエアコンを設置しました。夏や冬の気温の変化による学習環境への影響を考え、子どもたちが授業に集中できる快適な環境を整えるために行ったものです。これまで4月の入学後に支給していた「新入学用品費」は、入学に備えた支援という事業の趣旨に立ち返り、入学前の3月に「新入学用品準備金」として支給する新しい仕組みをつくりました。地域の足として8地域24路線で運行しているコミュニティバスは、65歳以上の高齢者の運賃を無料としました。民間路線バスにおいても、全国で初めてマイナンバーカードを活用した高齢者の外出支援を行い、健康づくり、生きがいづくりへとつなげています。空き家情報バンク制度も拡充を行い、市域全体での空き家対策の取組が始動しました。空き家の増加が全国的な課題として大きくなるなか、津市の将来を見据え、安全安心な居住環境の確保に向けて新たな展開を図った施策です。モーターボート競走事業では、地方公営企業法の財務適用を開始し、財務状況の透明化を図り、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上に向けた取組ができるようになりました。出張所の所長に再任用職員を充てた人事も、これからの時代を見据え、地域住民の立場に立って仕事をする職員が組織内にどんどん増えるように新たに行ったことです。今年の1月から緊急告知ラジオの無償貸与を開始しました。台風や頻発する局地的な大雨などによる災害から、何としても尊い命を守ろうと、防災情報の伝達手段を拡充したものです。
 消防団の詰所は、公共施設の有効活用という視点で使えるスペースがないか横断的に検討した結果、第1号として美里庁舎内に整備することができました。これまでの枠組みを超え、一歩踏み出した結果、現状を変える事ができたものです。
 そして、この3つの層は、健全な財政を堅持してきたからこそ積み上げることができたものです。合併によるメリットを最大限に活かし、将来への影響を分析しながら各層における事業を実施してきました。100億円であった財政調整基金を200億円まで積み増ししたことも、合併特例事業債の償還の財源として必要となることを見越したものです。一時的なものではなく、津市の未来を俯瞰し、将来への影響を見極め、成し得たものです。築き上げた土台は、津市の未来を支えるものとして、確固たる安定性を備えています。

 合併した津市が一つの都市として、持続し発展していくために築いてきた新しい時代への土台。この土台の上に、市民の日々の生活と心の豊かさを高める暮らしづくりを積み重ねてまいります。「暮らしづくり」とは、全ての世代が、健やかで、穏やかに、心豊かな暮らしができる環境を追求することです。行きたいところに行ける、やりたいことができる、健康で安心した生活を送ることができる、満足で充実した日々を過ごすことができる、そういった暮らしを実現していくことです。そして、その実現は、子どもたちが成長するライフステージをイメージし、安心して心豊かな人生を送ることができるストーリーを意識した先にあるものです。その最初の主人公である子どもたちをしっかり育まなければ、ストーリーに続きはありません。次期津市総合計画の一丁目一番地に子どもたちのための施策を掲げたことは、そういった考えによるものです。道路や公園などのインフラ・施設整備、防災・減災対策の推進、文化・スポーツ施設の充実、行政サービスの提供、地域経済の強化などを進めながら、子どもたちが豊かな人生を送ることができる、市民一人一人が普段の生活の中で、安心や安らぎ、幸せを感じることができる施策に力を注いでまいります。

 市民の皆様の幸せな暮らしの実現に向けて、まずは平成30年度。何をすべきか。それは、次期津市総合計画に掲げた施策を実践していくことです。
 1点目は、未来を担い築く子どもたちのための施策です。
 未就学児の子ども医療費の窓口無料化を9月診療分から始めます。小学校入学までの子ども医療費を窓口において無料とすることで、子育て世代の経済的負担の軽減を図り、子どもを安心して生み育てられる環境をさらに充実します。
 4月には、津市立初の幼保連携型認定こども園となる、津みどりの森こども園、香良洲浜っ子幼児園、白山こども園を開園します。2019年度開園予定の(仮称)一志こども園、2020年度開園予定の(仮称)芸濃こども園の整備も進めます。保護者の就労形態の変化に伴う多様なニーズに応えるとともに、質の高い幼児期の教育と温かく包み込むような優しい保育を提供するものとしてつくり上げてまいります。
 子どもたちが安心して快適に学べる環境もさらに充実してまいります。大規模改造工事は、実施中の3校に加えて、西が丘小学校、久居中学校で着手するとともに、小学校16校の普通教室へのエアコン設置工事も行います。
 一歩先を行く教育の取組も展開します。新しい小学校学習指導要領によって、2年後に3・4年生では外国語活動が導入され、5・6年生では外国語が教科化されます。津市は前倒しして、この4月から英語教育を実施します。教員の業務を支援する「教員支援員」も配置します。教員が教育指導に専念できる環境を整え、教員が子どもたちと向き合う時間を確保します。放課後児童クラブは、上野地区、新町地区、観音寺地区、一志東地区で移転整備事業を実施します。児童が充実した放課後の時間を過ごせる環境を整え、保護者が安心して働き続けられることにもつなげます。明地区、辰水地区には、津市初となる放課後子供教室を設置します。
 子どもたちの未来、それは、津市の未来でもあります。子どもたちのための施策を市政の中心に据え、力強く推し進めてまいります。

 2点目は、市民が健やかで穏やかな人生を送るための施策です。
 4月から国民健康保険事業が広域化され、市町村とともに都道府県も国民健康保険の保険者となります。国民健康保険事業の財政運営の責任主体となる三重県とともに、健全な運営を行ってまいります。
 同じく4月には6年ぶりとなる介護報酬・診療報酬の同時改定が行われます。国は、診療報酬の本体である医師技術料、そして介護報酬を引き上げる方針を発表しています。介護と医療の連携をさらに強化するとともに、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向け、真に機能する地域包括ケアシステムを確立していきます。
 精神障害者保健福祉手帳2級所持者の通院医療費についても、9月診療分から1/2助成を開始します。例えば、向精神薬の副作用で体調を崩された方や歯科治療が必要な方が、経済的な理由で精神科以外の治療が受けられないということがないよう、津市独自で経済的支援を実施します。
 大型家具等ごみ出し支援事業も始めます。大きなごみをごみ一時集積所まで排出することが困難な要介護者や障がい者のみの世帯を対象に、家具等を戸別に回収することで、負担の軽減を図ります。 
 人生100年時代が到来します。誰もが安心して医療が受けられ、不安なく健やかに暮らせるまちにするための時代を先取りした施策を進めてまいります。

 3点目は、市民が安全で安心して暮らすことができるための施策です。
 逃げ遅れによる被害者ゼロを目指し、要配慮者利用施設(福祉施設)への避難確保計画作成を促進します。国が全国初のモデル地区とした津市の取組が他の地方自治体にも広がるよう、市内にある全184施設における避難確保計画の作成を支援します。
 災害時に命をつなぐ新たなライフラインを確保します。小学校43校の受水槽への蛇口設置等を実施し、給水車を待つことなく、現場で飲料水が確保できる三重県初の取組を進めます。
 災害時の拠点となる施設の整備も進めます。(仮称)津市津南防災コミュニティセンターは、いよいよ建築工事に取り掛かります。地域住民の指定避難所として、また、沿岸地域の住民が津波から避難できる防災拠点として整備するとともに、地域住民が自治活動の場として活用できるコミュニティ機能を有する施設として整備を行います。一時避難機能を備えた久居駅東口広場や久居駅周辺の避難路の整備は、平成31年度の事業完了を目指します。
 消防庁舎の整備も進めます。久居消防署南分署の庁舎は、出動に適した現在地において浸水対策を強化し、津波避難機能を加えた形で建て替えます。北消防署の庁舎は、消防団の詰所、車庫、水防倉庫の機能を備え持つ複合施設として整備することとし、実施設計に取り掛かります。また、公共施設の有効活用という視点から一歩踏み出した取組を行った美里庁舎における消防団の詰所整備に続き、白山郷土資料館並びに草生幼稚園及び波瀬幼稚園を改修して地域の消防団施設として活用することとし、平成30年度は実施設計を行います。
 本庁舎の長寿命化にも取り掛かります。本庁舎がしっかりと機能しなければ、市民の命と財産を守ることはできません。将来にわたって支障なく行政サービスを提供する拠点として、また、災害発生時における防災拠点として、市民に安心していただける庁舎機能を確保します。
 防犯カメラの活用による防犯対策に向けた取組を始めます。犯罪の抑止等の効果を検証し、具体的な防犯施策へとつなげます。
 市民の安全と安心の確立に向けた追求に終わりはありません。不断の努力を積み重ねてまいります。

 4点目は、市民の心豊かで快適な暮らしづくりのための施策です。
 (仮称)津市久居ホールは工事に着手します。多彩な芸術文化の創造・発信と伝統文化・伝統芸能の継承を担い、地域に親しまれる文化拠点として整備を進めます。既存の文化ホールについても、施設の在り方を見直し、市民がより使いやすく、より使いたくなる施設とするための改修を行います。
 市民がスポーツに親しみやすい環境づくりにも取り組みます。津市民プール跡地へのテニスコートの整備を進めます。市民大会規模の大会が1つの会場で開催できる規模の屋外テニスコートを整備することとし、実施設計を行い建物の解体に取り掛かります。
 既存のスポーツ施設の長寿命化・改修にも取り組みます。津球場公園内野球場は長寿命化計画を策定し、将来にわたる快適な施設環境の維持に向けた改修工事へとつなげます。芸濃総合文化センター内アリーナ、一志体育館は、三重とこわか国体・三重とこわか大会の開催を見据え、必要となる施設の改修を進めます。
 津シティマラソンは、市街地を駆け抜けるコースに一新します。多くの参加者と沿道からのにぎやかな応援が得られるマラソン大会としての魅力を高めてまいります。
 市民の暮らしを支える生活基盤の整備も手は止めません。
 津興橋の架け替えは、いよいよ工事に着手します。まずは平成30年度から3年かけて既設橋の下流に仮橋を設置します。大谷踏切の拡幅に向けた取組も進めます。近鉄架道橋(高架部)の詳細設計とJR・伊勢鉄道の軌道内改良工事に取り掛かります。
 
香良洲高台防災公園は、既に確保した一時避難場所としての機能に加え、公園として整備するための実施設計を行うとともに、敷地造成を行います。岩田池公園の整備も進めます。市街地に残された数少ない自然林を保護しながら、幅広い世代が利用しやすい公園として整備を進め、平成30年度はサブエントランス部分の用地取得や園路整備の実施設計などを行います。
 4月に供用開始される志登茂川浄化センターが最大限活かされるよう公共下水道への接続を促進するとともに、公共下水道整備のさらなる推進を図ります。
 一身田公民館は、出張所や地域活動の拠点としての機能を備えた複合施設として整備します。津市が目指す新しい時代の「人が集い、つながりあう魅力ある公民館」の第1号として開館します。新町会館の移転整備も進めます。コミュニティ、文化顕彰、子育て支援、公民館、消防団詰所などの機能を有する施設として、新町幼稚園の跡地へ整備することとし、平成30年度は園舎の解体と実施設計を行います。(仮称)たるみふれあい会館は10月に開所します。現たるみ児童福祉会館の施設を改修し、新たな子育て支援拠点施設として整備します。
 市民の心豊かで快適な暮らしづくりは、津市の住みやすさに直結します。住み続けたい、住んでみたいと思っていただける施策を展開してまいります。

 5点目は、市民の暮らしを支える力強い地域経済を築くための施策です。
 ビジネスサポートセンターは、起業や創業、経営を支えるという使命をしっかりと果たし、事業承継などの相談にも対応してまいります。
 白塚漁港(白塚地区・河芸地区)は、県営漁港として三重県に移管する予定です。三重県には堤防整備を進めていただきますが、津市は関連する市道の整備を進め、水産業の生産基盤を強化するとともに背後地の防災対策にも資するものとしてまいります。農業においては、市内産農畜産物の情報発信を強化し、消費拡大から生産振興につながるシステム構築を進めるとともに、獣害対策の深化、新規就農者や多様な担い手の確保・育成などによる安定した農業経営基盤を築いていきます。林業においては、効率的な森林施業を推進し、木材の利用拡大と間伐未利用材の利用を促進するとともに、森林環境税の活用に向けた森林経営計画の策定支援に取り組みます。
 産業・スポーツセンターは、市内だけでなく、市外からも多くの方々に来場いただいており、宿泊やケータリングなど、施設から波及した新たな経済効果が生まれつつあります。オープン直後がもたらす現状に決して甘えることなく、大会やイベント、MICEの積極的な誘致・開催を展開し、地域経済の活性化にしっかりとつなげていきます。
 専修寺の「御影堂」と「如来堂」の国宝指定という新たな強みも得ました。津市を訪れる外国人宿泊者数は増加傾向にあり、着実に外国人が訪れるまちになりつつあります。サオリーナのオープン、専修寺の国宝指定により盛り上がりを見せる今というタイミングは、決して逃しません。MICEなどで訪れた人が滞在時間を利用して津市の観光資源や食を楽しめる仕掛け、日本を訪れる外国人観光客を津市に呼び込む取組など、創意工夫による観光施策を実践してまいります。
 地域経済は市民の生活を支える基盤となるものです。津市が持てる強みを総動員し、新しい時代を生き抜く取組を進めてまいります。

 以上、平成30年度における市民の生活や心を豊かにする施策について、次期津市総合計画の柱に沿って申し上げました。

 「暮らしづくり」に向けては、国や三重県の事業も促進されるよう働き掛けてまいります。
 津松阪港区域の海岸堤防整備については、栗真町屋工区、阿漕浦・御殿場工区の早期整備完了に向けた事業の着実な推進を国に要望し、特に阿漕浦・御殿場工区については、三重とこわか国体での競技開催に支障が生じない工事完了を求めます。
 中勢バイパスについては、早期全線供用を目指し、市域内唯一の未完成工区である鈴鹿・津工区の整備促進とともに、交差点の立体化や4車線化による渋滞対策、また、一級河川雲出川については、雲出伊倉津町地内の雲出古川左岸の高潮堤防工事や雲出島貫町地内の河道掘削など、雲出川河川整備計画に基づく早期整備と予算の確保を国に求めます。
 介護現場で働く職員や保育士の処遇改善を図るための支援についても、制度や運営上の様々な課題等について積極的な見直しが図られるよう、引き続き国へ要望いたします。
 志登茂川においては、江戸橋の架け替えに向け、昨年8月に新橋の橋脚2基が完成し、平成30年度には架け替えが完了する予定です。岩田川、安濃川、三泗川、相川についても、河川改修事業の推進を三重県に要望するとともに、一志美杉線の室ノ口バイパスや亀山安濃線の高野尾バイパスなどの県道整備、香良洲橋の架け替え、横断歩道等交通規制標示などの修繕及び通学路における交通安全対策などについても、引き続き県に働き掛けてまいります。
 平成30年度に新たな市政の第一歩を踏み出すということにおいては、国や三重県の動きも敏感に察知しなければなりません。
 国においては、一億総活躍社会をつくり上げることを目標に掲げ、若者も、高齢者も、女性も、男性も、障がいのある方も一人一人が家庭や地域や職場で自分の力を発揮し、生きがいを持てる社会の実現に向けた施策が展開されています。
 長時間労働の慣行を断ち切り、ワーク・ライフ・バランスを確保し、子育て、介護など、それぞれの実情に応じた多様な働き方を自由に選択できる働き方改革が進んでいます。同時に人生100年時代構想に向けた政策のグランドデザインが検討され始めています。
 経済情勢について言えば、景気は持ち直しており、緩やかな回復が続くことが期待されています。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本の国全体が拡大基調にあり、国民全体の盛り上がりもさらに高まりを見せてくるものと思います。今後ますます国の活力が高まっていく、そんな熱さを感じます。
 三重県においては、今年、県内の会場を中心に東海4県と和歌山県でインターハイ「2018 彩る感動 東海総体」が開催されます。2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年に開催される三重とこわか国体・三重とこわか大会につながる重要なイベントとしています。
 津市においても、スポーツ振興を深化させる絶好のチャンスです。その深化は、スポーツという世界への敷居を高くするものではありません。スポーツに携わることを市民が身近に感じ、自然と健康づくりにつながっていくことです。例えば、プロの技や技術を間近で体感し、興味を持ち、やってみて、活動が熱を帯び、心も豊かになっていく。そういったことをイメージした施策を展開し、その熱を健康づくりにつなげていく。体と心の健康を一人でも多くの市民が享受できるように、人生100年時代に向けて、住み慣れた地域で、健康で末永く暮らせるまちの実現を目指してまいります。

 
平成30年度は、次期津市総合計画元年です。10年間を計画期間とする第2次基本計画が始まります。10年間という期間において、社会経済情勢が目まぐるしく変わる中にあっては、市民の意識も当然変わっていくものと思います。ときに行政は、過去の経緯や策定した計画にとらわれ過ぎて、その変化に対応できなくなってしまうこともあります。市民の安心や安らぎ、幸せに向けた施策が、市民の感覚とずれていてはいけません。
 この思いから、次期津市総合計画には、10年間をいわば縛り付けるような具体的な事業は掲げず、毎年度の予算編成の中で示していくこととしました。
 平成30年度の予算は、まさにそのことを象徴するものです。

 平成30年度の予算について御説明します。
 今回の予算は、未来を担う子どもたちのための子育てや教育、市民が日々の暮らしの中で感じる安全・安心、快適さや便利さなどへの実効性を備えた「暮らし応援予算」とします。
 こども園や小中学校施設整備など子どもたちのための施策に増額配分するとともに、道路や公園などのインフラ・施設整備、防災・減災対策の推進、文化・スポーツ施設の充実、地域経済の強化など、より市民の暮らしに身近な事業に重点を置き、新しい時代における市民の暮らしをしっかり支える予算として編成しました。
 一般会計当初予算額は1,102億円と、3年連続の減となりましたが、これは、大型事業の完了によって規模が縮小したという単純なことではなく、市民生活により身近な事業をさらに充実させる方向へと内容を置き換え、人で例えるなら、成長を主体とする体づくりから、アスリートのように研ぎ澄まされた筋肉質の体づくりへと移行しているものであり、健全な財政基盤を支えに、新しい時代の市民の暮らしづくりを積み重ねていくために編成した結果です。
 歳入については、市税は景気が緩やかな回復基調にあることなどにより、前年度比0.5%増の401億円、地方交付税は市町村合併に伴う普通交付税の算定替における特例措置の縮減による影響はあるものの、基準財政需要額に算入される公債費が増加することなどから、前年度比1.7%増の180億円、市債は、産業・スポーツセンター整備事業の終了などにより、前年度比25.1%減の104億円を見込んでいます。
 歳出について、普通建設事業費は、前年度比23.4%減の128億3千万円としましたが、4大プロジェクトなどの大型事業が完了し暮らしづくりを展開する事業として、子どもの保育や教育環境の充実に向けた、認定こども園の整備、小中学校施設の大規模改造、また、(仮称)津市久居ホールを核とする久居駅周辺地区の整備、(仮称)津市津南防災コミュニティセンターの整備、一身田公民館の整備などに係る経費を計上したものです。

 次期津市総合計画に掲げた将来像「笑顔があふれ幸せに暮らせる県都 津市」。この将来像は、市民の皆様が自分らしい人生を送り、自分なりの幸せを見いだし、それを手に入れることができる暮らしの実現を市政がしっかりと支えていくことによって辿(たど)り着くことができるものと考えます。市民一人一人、幸せの形は違うと思います。それぞれがそれぞれの幸せを実感することができるまちの姿を追い求め、市役所一丸となって新しい時代を切り拓く市政をしっかりと展開してまいります。

 以上、平成30年度の市政運営について申し述べました。市民の皆様、議員の皆様の温かい御支援と御協力を心からお願い申し上げます。

市長の部屋

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