所信表明(令和元年6月/令和元年第1回津市議会定例会)

登録日:2019年6月7日

 

 市長3期目の就任後、初の市議会定例会の開会に当たり、今後の市政運営に臨む私の所信の一端を申し述べます。

 新元号「令和」が発表され、日本が新しい時代への第一歩を踏み出そうとするなか、これからの4年間の市政を託してくださった市民の皆様の期待を込めた想いを深く心に刻み、4月26日、3期目の初登庁をしました。

 そして令和元年の幕が開けた今、新しい時代における津市がさらに発展し続けていくため、津市の魅力を一層輝かせ、市民の皆様の幸せな暮らしがさらに広がる市政運営に全力で取り組んでいく決意を新たにしたところであります。

 

 平成23年4月、市長に初就任し、2期8年の間、「郷土津市のために尽くす」という初心を片時も忘れることなく、1期目は、10市町村が思い描いた合併後の新しい津市の基盤づくりを着実に進めてまいりました。2期目は、合併後10年という節目を迎えるなかで、新しい津市のあるべき姿を目指したまちづくりをほぼ完成させ、さらに、そのうえで市民の幸せのため、地域のために「もっとできること」に取り組んできました。

 新斎場「いつくしみの(もり)」や産業・スポーツセンターの完成など、合併時に約束されていたことを一つ一つ実現し、JR名松線の全線復旧や県内初の義務教育学校「みさとの丘学園」の開校、ビジネスサポートセンターの開設など、状況の変化に対応した施策や小中学校普通教室へのエアコン設置、高齢者外出支援事業など、新しい市政展開に先駆けて踏み出した施策を推進し、新しい時代を切り拓くためのまちづくりの土台を築き上げました。そして、この土台を築くに当たっては、私のまちづくりの原点である「対話と連携」のもと、常に市民の声に耳を傾けながら進めてまいりました。

 また、合併によって市民サービスを低下させないよう、合併のデメリットを最小限に留め、行財政の効率化により財政の健全化を保ちながら、合併前には出来なかった大型事業を実施するなど、合併のメリットを享受し、新しい一つの都市として発展してきました。

 顧みますと、それが平成時代の津市のまちづくりであったと言えます。

 平成時代において合併後のまちづくりを成し遂げ、都市としての強固な土台を築き上げた今、私が目指す新しい時代の津市の姿は、一人一人の人権が尊重され、市民の日々の生活、暮らしがより豊かで充実し、市民の笑顔があふれ幸せに暮らせることです。

 その目指す津市の姿の実現に向け、今後当面続くことが想定される少子高齢化を伴う人口減少を踏まえ、持続可能なまちとしてあり続けるため、新しい時代を担っていく子どもたちのための政策や高齢者の健康政策、また、上下水道や雨水施設などの社会基盤の整備に特に重点を置きながら、将来を見据え、一歩先を行く志を持って市政に取り組んでまいります。

 

 そして、これからの4年間で具体的に実行したいと思う、あるいは、事業化に向けた計画を立てたいと考えている取組について、この度、私が掲げることとしました3つの基本姿勢に沿って申し述べたいと思います。

 一つ目の基本姿勢として、より質の高い市民サービスをお届けします。

 人口28万人の県都として、これまでの取組を進化させた政策や他の自治体の先駆けとなるような質の高い施策を市民の皆様にお届けしてまいります。

 まずは、子どもたちのための施策を、総合計画にも掲げたとおり、一丁目一番地として進めます。4月に開園した一志こども園に続き、5園目となる新築工事中の芸濃こども園を来年4月に開園します。また、旧雲出幼稚園施設を活用し、雲出保育園を移転整備します。

 さらに、10月から始まる幼児教育・保育の無償化によって見込まれる保育ニーズの大きな変化にも柔軟かつ迅速に対応するとともに、現在策定中の次期子ども・子育て支援事業計画において、こども園のさらなる設置を目指すことを位置付け、待機児童数ゼロを継続してまいります。

 放課後児童クラブの利用を希望する子どもの数は増え続けています。こうした需要をしっかりと受け止め、施設整備をさらに進めます。 

 小中学校の普通教室へのエアコン設置は、他の多くの自治体より2年早く取組を始め、昨年度までに558教室にエアコンを設置しました。今年度中に350教室の整備を行い、さらに、338の理科室、音楽室などの特別教室や給食室にもエアコンを設置いたします。

 次に、高齢者福祉については、高齢者の健康寿命を延ばすための施策をさらに進めるなど、市民の皆様がいつまでも健やかで自分らしい生活を送れるようにしてまいります。
 美杉地域で実施してきた保健師・管理栄養士などが地域を巡回・訪問する栄養パトロール事業が、昨年、国の有識者会議で先進事例として取り上げられました。この事業をモデルとして、高齢者の健康寿命を延ばすため、フレイルに着目した栄養ケア事業を市内の各地域に広げたいと考えております。

 大型ごみの無料回収の対象者を拡大します。これまで障がい者や要支援1以上の人のみで構成される世帯を対象としてきましたが、大きなごみを排出することが困難な市民の負担をさらに軽減するため、多くの要望をいただいている高齢者世帯まで拡大します。

 2021年の三重とこわか国体・三重とこわか大会は、着実な準備業務の推進を図り、津市を会場地とする国体9競技、大会4競技の開催を成功させるとともに、国体及び大会開催を絶好の機会として捉え、観光情報の発信などにより、市内の周遊を誘導するなど、リピーターの獲得を見据えた交流人口の拡大に向け、PRをしっかりと展開してまいります。

 また、旧津市民プール跡地への新しいテニスコートの整備を進めるなど、スポーツへの機運の高まりのなかで、子どもたちのスポーツへの関心の向上や市民の健康づくりの増進につながるよう、スポーツの振興をさらに図ります。

 市民生活の身近な課題解決に向けても積極的に取り組みます。

 パイロット事業として7台の防犯カメラを設置し、防犯効果などを検証してきました。今後はこの取組をさらに一歩進め、自治会が防犯カメラを設置する場合の補助制度を創設したいと考えております。

 一人暮らしの学生や転勤されてみえた方、外国人の方などにも、ごみの出し方を分かりやすく周知するため、ごみ出し日を事前にメール配信によりお知らせする機能やごみ分別の検索機能を備えた、7カ国語対応のごみ分別アプリを導入し、ごみ出しの利便性をさらに向上させます。

 現在、40歳・50歳・60歳・70歳の方を対象に実施している歯周病検診は、歯周病などの口腔疾患により歯を失う人の割合が30代から急激に高まることから、新たに30歳の方を検診の対象に加えたいと考えております。

 近年、アライグマやハクビシンなどの小動物による農作物被害が増加しています。地域や専門家を交えた津市オリジナルの防護柵の作成に向けた研究を行うとともに、捕獲推進のための報償費制度を創設して対策をさらに進めます。

 まちづくりの基盤となるインフラ整備では、雨水対策にも力を入れてまいります。国の交付金を活用し、10年間で100億円規模の事業費を見込んだ雨水管理総合計画に基づき、14の重点対策地区の浸水対策を着実に進めてまいります。

 来年6月のオープンに向け、久居アルスプラザの建設を進めます。

 文化芸術の創造と発信のみならず、学びと交流の促進や地域の活性化にもつなげ、副都市核にふさわしい新たな文化芸術の創造拠点として誕生させます。

 市民の皆様の文化芸術活動のさらなる振興を図るため、サンヒルズ安濃ハーモニーホールを改修するとともに、津リージョンプラザお城ホールの改修も進めてまいります。また、地域ホールの改修にも取り掛かりたいと考えております。 

 

 次に、二つ目の基本姿勢として、地域を重視し、市民に寄り添います。

 市民の日々の生活の充実のために、それぞれの地域の実状に向き合い、課題の解決を図ります。

 地域で育み、これまで大切にしてきたものの価値をさらに高め、新しい地域の資産として生まれ変わらせるための取組を進めてまいります。

 榊原自然の森温泉保養館「湯の瀬」と安濃交流会館内「あのう温泉」は、民間事業者からの関心表明を踏まえ、事業手法を決定します。本市の貴重な観光資源である榊原温泉の強みを発揮させる温浴観光施設として、また、温泉を活かした地域振興の核となる交流拠点として、それぞれリニューアルすることを目指します。

 平成29年度から国の交付金を活用し、閉校した3つの小学校を利活用した美里地域のコミュニティの拠点づくりのための取組は、これまでの成果を踏まえ、地域に愛され続けてきた学校を最大限活用したコミュニティづくりを地域の皆様とともに考えてまいります。

 地域が一番に望むことは、最重要事項として全力で取り組んでまいります。

 河芸地域で完成が待ち望まれている津北部地域海岸の堤防は、県事業として動き始めた上野地区と白塚漁港河芸工区の海岸堤防整備が着実に促進されるよう、予算確保に向けて国・三重県に強く要望してまいります

 芸濃地域のこども園整備事業は、合併時に地域の重要課題として引き継がれたものです。地域のニーズを踏まえ、市の総力を挙げて練り上げた教育児童施設の一体的な整備構想により、来年4月の開園に向けた芸濃こども園の整備に加え、芸濃小学校普通教室2室の増築や放課後児童クラブ「芸濃KIDS」施設の2棟目の新築工事など、地域の長年の思いをしっかり形にしてまいります。

 地域住民のアイデアから生まれた香良洲高台防災公園の整備をさらに進めます。津波発生時の緊急避難場所としてはもとより、平時はサッカーなどのスポーツができ、多目的グラウンドとしても活用できるよう整備を進めてまいります。

 地域から一日も早い実現が強く望まれる県道一志美杉線の室ノ口バイパス、室ノ口から矢頭トンネル間の2車線化については、早期の事業完了に向け、予算確保を三重県に強く要望してまいります。

 また、地域の皆様が気掛かりになっていることは、先手を打って対応してまいります。
 老朽化が著しく進むコミュニティ施設の多い津地域においては、公共施設の最適化を図りながら、地域の財産として、市民から必要とされる整備を行ってまいります。2020年度中の供用開始に向けた新町会館、橋南公民館の整備とともに、津西地区の新たなコミュニティ施設の整備、南郊公民館の整備構想を進めてまいります。

 一志地域の波瀬川左岸の流域周辺では、近年の宅地化により雨水流出量が増大し、道路冠水に伴う通行止めなどが発生しています。地域生活に支障を来すことのないよう、雨水計画を策定し、排水対策に取り組んでまいります。

 市内でも特に高齢化が進んでいる白山・美杉地域においては、住み慣れた地域で安心して生活できるよう、住民にとって最適な地域包括ケアシステムの推進を図るとともに、美杉地域では、家庭医療クリニックを核として、地域医療を担う医師の継続的な確保に取り組んでまいります。

 そして、地域重視のさらなる展開には総合支所の果たす役割が特に重要になることから、予算や人事においても、地域にしっかりと寄り添ってまいります。

 特色ある地域振興を目的に進めてきた地域かがやきプログラム事業を新たな展開へと発展させるため、地域のイベントなどを地域とともに決定し実施していけるよう、地域事業枠予算を創設したいと考えております。

 また、総合支所と地域で福祉活動を担う団体が連携しながら活動内容を地域自ら決定し、その活動に使うことができる予算を各総合支所に配分したいと考えております。

 職員の採用においても、地域で生まれ育った方が、地域に寄り添いながら地域で働き、また、その地域で自らの人生設計を描く一助にもなるような制度を作っていきたいと考えております。

 さらに、地域の望みを一歩でも前に進めるために実施してきた地域懇談会についても、継続して実施してまいります。

 

 三つ目の基本姿勢として、未来への責任を果たします。

 私たち基礎自治体が担う未来への責任は、いつまでも住みやすく、活力があり、輝き続けられる津市を次の世代に引き継いでいくことです。そのためには、持続可能なまちづくりにつながる施策に積極的な姿勢で取り組んでいかなければなりません。

 近い将来、南海トラフ巨大地震の発生が想定されるなか、国土強靭化に向け、防災力・消防力を強化してまいります。北消防署を建て替えるとともに、西分署の整備構想を進めてまいります。

 地域経済は市民生活を支える基礎となります。地域経済の活力を高め、継続させるため、ビジネスサポートセンターを核として、企業相談や創業・事業承継支援をさらに強化してまいります。

 また、社会インフラなどの都市基盤や居住環境の整備は、まちの活力につながります。平成の終わりに大きな一歩を踏み出した大谷踏切の拡幅や津興橋の架け替えについては、事業完了に向けて着実に取り組んでまいります。

 また、適正管理されない空き家・空き地は、周辺の治安や景観を悪化させ、地域の魅力の低下を招くことになります。これまで積極的に進めてきた特定空家等のさらなる改善率向上を目指すとともに、空き地の所有者特定を容易にするための法整備を国に求めてまいります。

 さらに、担い手不足や高齢化に伴い増加する農地の耕作放棄地についても、優良農地に悪影響を及ぼすだけでなく、農業の衰退につながることから、将来に向けてさらに取組を進めなければなりません。農地の耕作継続・利用最適化に向けて、農業委員、農地利用最適化推進委員、JA、県の普及指導員、そして市において、それぞれが進めている取組が効果的に結び付くよう、5者が連携できる仕組みとして「令和版 営農会議」を作りたいと考えております。

 森林の経営管理に係る市町村の役割強化に伴い、津市の森林環境政策を計画的に進めます。今年度から譲与される森林環境譲与税を活用し、森林所有者への意向調査や森林の現況調査、境界明確化など未整備森林の解消、土砂災害防止など森林の持つ多面的機能の向上に取り組みます。

 平成27年から始まった地方創生の取組では、今年度末にまち・ひと・しごと創生人口ビジョン・総合戦略の計画期間が終了します。国においては、地方創生に対する支援策を継続していく考えであることから、津市においても、次期総合戦略を策定し、さらに取組を進めてまいります。

 これまで申し述べてきたことを、健全な財政運営を維持しながら進めていくことも未来への責任です。人口減少に伴う税収減が見込まれるなか、国・県からの財源を情報のアンテナをしっかり張り巡らせて確実に確保するとともに、新市まちづくり計画の計画期間の再延長による合併特例事業債の効果的な活用を図ることに加え、将来を見据えた選択と集中による視点のもと、民間活力のさらなる導入や官民連携手法の有効活用など、あらゆる手段を尽くしながら、健全な財政運営を行い、臨時財政対策債を除く市債の残額を減らすよう努めてまいります。

 

 以上、津市をさらに魅力あるまちにするために4年間で実現したいと考えている主な内容を申し述べてまいりました。

 具体的な事業化に向けては、次のような3つの手順で進めてまいります。

 まず第一に、早急な事業化を図る施策については、今回の補正予算に盛り込みました。市道河芸町島崎町線(河芸工区)の道路整備、市道新横山目細線の道路整備や一志地域の雨水計画の策定、雲出保育園の移転整備に係る経費のほか、ごみ分別アプリの導入、小動物による農作物被害への対策、(仮称)久居誕生350年事業などに係る経費であり、これらについては、今議会でご審議をお願いいたします。

 次に、事業の方向性や手法、財源の確保などをこの夏から秋にかけてしっかりと検討し、整理ができたものについては、来年度に予算化していくという手順で進めるものもございます。重点を置くとした子どもたちのための施策として、次の新たなこども園の設置や放課後児童クラブの施設整備、小中学校の大規模改造は、来年度から事業に取り掛かることができるよう整理してまいります。その他にも、合併特例事業債の活用も見据え、発行期限の再延長を行ったうえで事業展開を定めていく事業について、今後新市まちづくり計画の計画期間の延長手続きとともに、その方向性を示してまいります。

 また、現時点で構想段階にあるものについては、現行制度との整合を図るなど、施策の制度設計について庁内でしっかりと議論を重ね、地域や関係者の皆様との調整を行いながら、新しい仕組みを作っていきたいと考えており、整理ができたものから、順次議会にお示ししてまいります。

 

 人口28万人都市の津市は、細かなところまで目を配りながら、効率性を損なわず、ダイナミックな意思決定ができる規模であり、加えて、政治経済や市民生活に関し、非常に自治意識の高い風土が備わっています。

 また、地方自治制度の変革において、特に平成時代は地方分権が大きく進展するなか、今の津市は三重県としっかりとした協働関係を築き、国との関係においても、最前線の議論の場に身を置き、地方の声を国に届けるなど、一定の存在感のある都市となりつつあります。

 職員も、市民が求めているものを何とか実現したい、そして、そのためにひたむきに努力するという高い意識と姿勢を持って、市民の皆様に御満足いただけることを目指し、行政サービスを提供し続けてきたことにより、市民の皆様から信頼される市役所になってきたと感じています。市役所がもっと市民のお役に立てるよう、副市長や幹部職員をはじめとする全職員が現場へ飛び出し、市民と対話を重ねながら、さらに信頼される市役所を目指します。

 その信頼を携え、津市は、新しい時代においても、堂々たる県都として高みを目指し、風格ある都市となるよう市政を進めていかなければなりません。それは、総合計画に掲げた将来像「笑顔があふれ幸せに暮らせる県都津市」の実現に向けて、これまでと変わることなく、市民との「対話と連携」のもと、着実に歩みを進めていくことでもあります。

 社会経済情勢などの変化を的確に捉えることで「時代を読み」、常に新しい情報に目を向け、斬新かつ柔軟な発想で「手法を凝らし」、市民が今何を求めているのかをいち早く感じて「市民ニーズに応える」、このような市政を、ぶれずにスピード感を持って真っすぐに進めてまいります。

 それを成し遂げていくために、全職員が一丸となって、これまで以上に力を出し尽くしてまいります。その組織としての力を最大限に引き出すため、私自身が先頭に立ち、職員を引っ張っていく決意と意欲をここに表明し、私の所信といたします。

 全力で取り組む所存でございますので、皆様の温かい御支援と御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

市長の部屋

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