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折り込み紙4
令和7年3月16日発行
人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366
国は、差別を解消することを目的として、平成28年に人権に関する新たな3つの法律(人権三法)を施行しました。「障害者差別解消法」においては、障がいを理由とする不当な差別的取り扱いを禁止し、障がいのある人から申し出があった場合に合理的配慮の提供を求めることなどを通じて共に生きる社会(共生社会)の実現を、「ヘイトスピーチ解消法」においては、特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動を解消し、互いに違いを認め、人権を尊重し合う社会の実現を、「部落差別解消推進法」においては、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会の実現を、それぞれ目指しています。
人権三法が施行されてから今年で9年目を迎えます。しかし、依然としてインターネット上における差別を助長する書き込みや不動産売買における土地差別などの人権侵害事案が発生しています。基本的人権が尊重され、自由で平等な社会を実現することは、全ての人々の強い願いであり、社会生活における基本的人権の侵害は、いかなる理由があっても許されません。
私たち一人一人が、あらためて人権三法について学び知ることで、自らの人権意識を高め、全ての人々の人権を守り、明るく住みよい社会を築いていきましょう。
「今思えば、僕は独りぼっちだった」
これは、私が小学校の教員になって13年目に初めて特別支援学級を担任したときに出会った子どもの言葉です。5年生からの2年間担任をした彼が、そんな思いを持っていたことを私が知ったのは卒業を目前にした頃でした。
私が彼のことを知ったのはまだ2年生の時で、彼は授業中に教室の外や運動場にいることもあり、いつもそばで教職員が見守っていました。また、職員会議では、人との関わりが苦手で周りからの刺激に過敏な彼への配慮についてよく話題に上りました。そのため私は「この子が人との関わりの中で嫌な思いをしないためにはどうしたらいいのだろう」と、彼への配慮ばかりに気を使っていました。
私が彼の担任をすることになったとき、私は「どうすればこの子とうまく関われるだろう」と不安を感じていました。しかし、実際に関わってみると彼はおしゃべりが好きで、飼ってみたい生き物や好きなユーチューバーの話、家族の話など、自分からたくさん話をしてくれました。また、休み時間にドッジボールをするのを楽しみにしていて、チャイムが鳴ると運動場で友達が出てくるのを待っていることもありました。
私はそんな姿を知り、彼のほんの一面だけしか知らずに、彼と積極的に関わろうとしてこなかったことに気付きました。そして「この子のことをもっと知りたい」「この子や特別支援学級の子どもたちが同じ学年の子どもたちと安心して共に学ぶことができる場を、子どもたちや他の教職員と一緒につくっていきたい」と思いました。
子どもたち同士が学び合う授業や学校行事、休み時間などを通して、仲間と共に過ごし共に学ぶ経験を少しずつ積み重ねていく中で、彼には、「この仲間と一緒に過ごしたい」「この仲間に自分の思いを伝えたい」という思いが芽生えていきました。そのような思いや、これまでの自分の気持ちを振り返って語ったのが冒頭の言葉だったのではないかと思います。
彼に「独りぼっちだ」と思わせていたのは、彼のことを知りもせず積極的に関わろうとしてこなかった私自身だったと思います。私は彼から、自分から積極的に関わり、その人のことを知ろうとすることが、その人の思いや生き方を知り、自分自身がその人との間につくっていた壁をなくしていくことにつながると教えてもらいました。
そのようなことに気付かせてもらったからこそ、自分から人に積極的に関わり、その人のことを知ろうとすることで、障がいがあってもなくても共に生きることができる社会をつくっていくために「私」にできることは何なのかを考え続けていきたいと思います。
シロモチくんとゴーちゃんの会話
シロモチくんの発言。ゴーちゃん、「合理的配慮」という言葉を知っているかな?
ゴーちゃんの発言。知ってるよ!例えば、車いすを利用する人が、希望するお店に入れるように階段に簡易スロープを設置したり、視覚や聴覚に障がいのある人のために、筆談や手話を用いたりすることだよね。
シロモチくんの発言。そのとおり!階段があるために車いすを利用する人がお店に入れない場合、お店側が簡易スロープを設置すれば障壁はなくなるよね。お店や行政機関は、障がいのある人から社会の中にある障壁を取り除いて欲しいと求められた時には、負担が重すぎない範囲で対応することが義務付けられているんだよ。
こうした合理的配慮を提供するためには、障がいについての無理解・無関心をなくしていくことが大切なんだ。
ゴーちゃんの発言。なるほど。せっかくお店に簡易スロープが用意してあっても、店員さんに理解や意識がなければ提供できないもんね。
社会の中でのさまざまな障壁を取り除いて、障がいのある人も暮らしやすい社会をつくっていくのは、私たちみんなの責任なんだね。
約85パーセントの人は、街なかでユニバーサルデザインに配慮した設備はまだまだ不十分だと思っていることが分かるね。
ユニバーサルデザインとは、誰もが利用しやすいよう、あらかじめ都市や生活環境をデザインする考え方のことです。
約85パーセントの人は、障がいのある人に対する差別や偏見をなくすのは、社会全体の責任だと考えているね。
ユニバーサルデザインのまちづくりは年々進展しつつあるものの、設問1の結果からまだ十分に整備されているとはいえないことが示されました。そのため、障がいのある人を含む全ての人がより暮らしやすく、より社会参加しやすくするために、バリアフリー化を含めユニバーサルデザインに配慮した施設や公共交通機関等の整備を積極的に進めていく必要があります。
また、設問2より、多くの人が障がいのある人に対する差別や偏見をなくすのは社会全体の責任であると考えていることが示されている一方で、津市障がい福祉総合プランの基礎資料として、令和4年度に行ったアンケート調査によると「合理的配慮」に関する市民の認知状況は「言葉は聞いたことはあるが、内容は分からない」と回答した人が32.5パーセント、「言葉を聞いたことがない」と回答した人が53.6パーセントとなっており、合理的配慮についての理解不足が示されています。そのため、津市では障がいや合理的配慮の考え方について理解を深めるための啓発や、市民人権講座・人権講演会を開催するほか、広報津などを通して、障がいを理由とする不当な差別の解消に取り組んでいます。
障がいは特別なものではなく、病気やけが、加齢などで障がい者となる可能性は誰にでもあります。障がいの有無にかかわらず、誰もが社会参画を通してその能力を十分に発揮し、互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会をつくっていきましょう。
みさとの丘学園7年の、東海 希音さん
みさとの丘学園8年の、木下 澪桜さん
一志中学校2年の、清水 彩花さん