津市 - 「広報津」平成23年12月16日／第144号（音声読み上げ）　シリーズ人権（45）

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シリーズ人権（45）

みんな

　私には、学生時代、同級生を通じて知り合った外国人の友達がいました。
　当時、私は外国人に対して苦手意識がありました。紹介された彼はオーストラリアの原住民の血を引き、がっしりとした体で、彫りの深い顔立ちの青年でした。その時は「ちょっと怖いなあ」というイメージを持ってしまいました。
　しかし、接していくうちに、彼は全く怖い人ではなく、心優しく自分の意思をしっかりと持った魅力的な人だということが分かってきました。
　そんな彼からある時、「俺って怖いかな」と聞かれました。その時私は「怖くないよ」と答えました。そして、彼になぜそんなことを聞くのかを尋ねました。彼は、今まで知らない人にじろじろと見られて何だろうと思い、その人を見ると、目をそらされるなどの嫌な思いをしてきたことを話してくれました。
　その話を聞いて、出会ったころに、彼のことを少しでも怖いと思ったことが恥ずかしくなりました。
　ほとんどの人は「自分は差別なんてしていない」と言うかもしれませんが、多くの人は、私のときのように心のどこかにある差別心に気付いていないだけなのかもしれません。私は実際に外国人とふれあい、彼らの良さを知る中で、外国人に対する偏見が私の中にもあることに気が付きました。
　人はふれあうことで、その人の思いを知ることができたり、その人の人となりを知ることができたりします。そうすることで、日本人や外国人ということとは関係なく、一人の人として、自然体で付き合っていくことができるのではないかと私は考えます。
　そもそも、なぜ外国人に対する差別や偏見が起こるのでしょうか。それはきっと自分たちとは異なる文化を拒絶しようとする気持ちからくるのだと思います。しかし、自分たちの文化以外は認めたくないという考えをみんなが持ってしまったら、この問題はいつまでたっても解決しません。
　まず相手の思いを受け止め、対話をしていくことが大切だと思います。その積み重ねが、自分と相手のよい関係をつくり、やがては、より豊かな社会の構築につながっていくのではないでしょうか。皆さんも話すチャンスがあれば、ぜひ勇気を出して話し掛けてみてください。